僕の半生 ⑫ | イラストレーター・出直し編| 2007年1月(30歳)〜2011年2月(34歳)

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妻とは2005年の6月に知り合いました。彼女はデザイン事務所に併設されているカフェで働いていて、僕はたまたま仕事の打ち合わせの帰りに立ち寄り、出会ったのでした(我ながら美しい出会いのストーリーだと思っています!)。知り合ってから約1年後につき合い始め、その後、2006年の11月に婚約をして、一緒に暮らし始めました(その後2007年9月に入籍)。新しく始まる二人の生活はとても新鮮で幸せなものでしたが、一方で、それは仕事としてはどん底の時期(前編参照)だったので、僕は心を入れ替えて2007年1月から、生活向上のために人生2度目の大規模営業活動を始めました。今回は独立したばかりの頃とは違い、3年分のキャリアやサンプルがあるので、より営業に適したファイルを作ることができました。僕は妻に手伝ってもらって100冊以上のイラストファイルを作り(プリンタのインク代や、クリアファイル代だけでも相当な出費だった)、電話営業をした編集部やデザイン事務所にメール便で片っ端から送りまくり(おそらく近所のコンビニのバイト達の間では、僕のあだ名は「メール便」だったことでしょう! )、アポが取れた担当者には全て会いにいきました。その甲斐あって、数ヶ月で僕の受注数は以前以上の水準に持ち直し、なんとか二人で生活をできる水準まで安定させることができました。

また、この時期妻は僕の仕事をいわゆるアシスタントとして手伝っていたのですが(彼女はデザイン会社での職歴もあって、スキルがあった)、実は絵を描かせると僕より上手かったので、このままではもったいないと思い、イラストレーターとしての独立のノウハウを教え、彼女も2008年初頭から独立してフリーのイラストレーターとして活動を始めました。

こうして、妻のおかげもあり、大手のクライアントや大口の案件も増え、大きな変化こそ無いものの、淡々と、しかし楽しく仕事をこなす安定期に入っていきました。また、妻は2011年1月に地元で個展も開いて成功をおさめました。それぞれが、それぞれのイラストを追求しつつ、仕事の充実に伴ってプライベートも充実し、時間を見つけては自転車などの趣味に興じたり、同業者や地元の友人たちと夫婦ぐるみで付き合うなど、刺激的な日々を過ごすことができました。実は、僕は20代後半まで全く結婚願望が無く、結婚制度というものに懐疑的な人間でしたが(この僕の結婚観の変遷についても、機会があれば書きたいと思っています)、結婚してみると、少なくとも自分に関しては、それは独身期より遥かに幸せでポジティブなものでした。

2011年3月に震災が起こるまでは、僕らはそんな風に、地元神奈川で平和に暮らしていたのでした。

イラストレーター・なにわ編につづく

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東日本大震災の翌月、僕らは大阪に居を移しました。大きな理由としては、震災後の余震により、妻の持病のメニエール病(めまいの病...


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