先日書いた僕の半生記でも何度か触れましたが、僕は子どもの頃、たびたびいじめに遭いました(「いじめ」という呼称自体、非常にナンセンスだと思いますが、便宜上この言葉を使います。具体的には同級生からの暴行や集団無視等々)。特に中学3年生の時はひどくて、クラスの番長的存在の生徒に目を付けられてしまったせいで、不良グループからは暴行を受けるし、クラスメイトは彼らを恐れて全員僕を無視するし、とにかく地獄のような1年間を過ごしました(→その時の様子を描いたマンガはこちら)。僕は、当時から割と気が強くてポジティブな人間だったので、何とかめげずに学校に通い続けましたが、気が弱い子どもだったらあの程度でも登校拒否になったり、最悪の場合は自殺しちゃったりするんだろうな、と思うレベルのいじめでした(ちなみに、一応学級担任等にも相談しましたが、まったく真剣に聞いてもらえず、見て見ぬ振りでした。これは特に僕の担任がひどかった訳ではなく、学校の先生なんて皆多かれ少なかれそういうものだと思います)。
これは僕自身がいじめに遭ったときの話
救ってくれたのは友達でも先生でもなく長渕だった
そんな辛かった時期に僕の心を最も支えてくれたものは、長渕剛さんの存在でした。半生記を綴る中で、それを改めて思い出し、今いじめに遭っている人に伝えようと思って、このブログを書くことにしました。
僕が初めて長渕剛さんの歌を聴いたのは中学2年生の時でした。当時、爆発的な人気だったドラマの主題歌『とんぼ』が収録されている『昭和』を始めとしたいくつかのアルバムのカセットテープ(当時僕はCDプレイヤーを持っていなかった)を友人が貸してくれたので、僕はそれをダビングして持っていたのですが、彼の曲と歌声の本当の力を知るようになったのは、中学3年になって、自分がいじめに遭ってからでした。本当に辛くて仕方なかったとき、何気なくラジカセで流した彼の歌声が、不思議なほどの力を持って僕の心を励ましてくれたのです。
死んじまいたいほどの 苦しみ悲しみ そんなもののひとつやふたつ 誰もがここあそこに しょい込んでるもの 腰をおろしふさぎ込んでも 答えはNothing! … STAY DREAM(アルバム『STAY DREAM』収録)
歌にこんな力があったなんて! 感動した僕は、毎日長渕剛さんの歌を聴きました。
剛さんから僕が受け取ったメッセージ
そして、ある日僕は彼の歌の中に共通したメッセージを見つけました。歌を通して、少年だった僕に長渕剛さんが語りかけてくれたような不思議な経験でした。それを僕の言葉で要約するとこんな感じです。
「どうしてお前は誰かに嫌われたことでクヨクヨしているんだ? お前は何も悪くないじゃないか。お前のことを不当に蔑むつまらない奴らのことなんか気にするなよ。そんな奴らにどう思われたって関係ないじゃないか? そんな奴らとの関係はこっちから断ち切ってしまえよ!」
「お前は失敗や挫折や孤独がかっこわるいと思ってるんじゃない? 俺もそういう経験があったよ。でも本当は全然そんなことないんだ。むしろ逆で、そういう苦難を知っている人間の方が魅力的なんだよ。だから、クヨクヨしないで、自分や自分を大事にしてくれる人のためだけに一生懸命生きる方がいいじゃないか」
「やれるだけやって、ダメだったら逃げてもいいんだよ。今いる場所だけがお前の生きるべき場所なんじゃないんだよ。男なら、たまには潔くあきらめて逃げちゃえよ。そして、新しい場所でまたイチからやり直せばいいんだよ」
僕はハッとしました。これはあくまで僕の話ですが、いじめに遭っている時に一番辛いことは、改めて考えてみると暴行などの物理的な被害ではなく(もちろんそれも非常に辛いのですが…)、集団の中で自分の居場所が無いことだったです。逆に言うと、僕はいじめの被害を受けながらも、いじめの加害者たちに仲間としてもう一度仲良くしてもらいたい…という気持ちが無意識にあって、それを受け入れてもらえない寂しさや悲しさのようなものが一番辛かったのでした。
いじめの加害者なんて、こっちから願い下げ
しかし長渕剛さんの言葉で、それが何とバカバカしいことかと気づいて、一気に気持ちが楽になりました。本当に、どうして自分はあんな奴らの仲間にもう一度入れてもらいたがっていたんだろう? よく考えれば彼らは友達でも何でも無く、偶然同じクラスに割り振られた、気の合わない他人に過ぎなかったのです。そして、それに気づくと、今まで何て狭い世界の中で生きていたんだろうと思うようになりました。学校なんて広い世界のうちのほんの数百人が形成している狭い社会で、そこで上手く行かなかったら逃げ出してしまえば良いじゃないか!と思うようになったのです。そう思うようになってから、僕はいじめがそれほど気にならなくなり、そんな僕の態度の変化を感じて不良たちもつまらなくなったのか、以前ほど露骨ないじめをしてこなくなりました(それでも中学卒業まで「シカト」は続きましたが…)。
今、僕から「いじめに遭っている人」に伝えたいこと
僕が、今いじめに遭っている人に伝えたいのは、そういうことです。自分を蔑むつまらない人間の言動に傷つく必要なんて全く無いし、死ぬほど辛いんだとしたら学校なんて行かなくて良いのです(最近はネットでのオンライン教育も進んでいるし、SNSの発達によって友達を作る場も学校以外にいくらでもあるので、ますます学校に行く意味はありません。センシティブなトピックではありますが、これに関しては改めてどこかで書きたいと思います)。
長渕剛という人
長渕剛という人は、たくさんの熱心なファンがいる一方で、見た目の怖さや過激な言動のせいで誤解されることも多く、彼を否定的に見る人もまた多くいます。正直に言うと、僕自身、特にイラストレーターとして仕事をするようになってから、そういう人たちからの誤解を恐れて「自分は長渕剛が好きだ」とハッキリ言うことを避けてきた部分がありました。しかし、自分が長渕剛さんの歌にあれだけ救ってもらっておきながら、それを語ることから逃げてきたのは恥ずかしいことだと思い直し、このブログを書くことにしました(自分なりに熱意を伝えるために、このコラムの為にイラストも描きました)。
長渕剛さんはいじめられっこの味方である
僕が自信を持って言えるのは、長渕剛さんは見た目は怖いかも知れないけど、決していじめの加害者ではなく、むしろいじめられて苦しんでいる人の味方だということです。彼の歌は、彼自身が経験した、いじめやそれ以上に過酷な状況を苦しみながら乗り越える中で得た気づきそのもので、それはいじめ(子どものいじめだけでなく、たとえばブラック企業の労働に苦しんでいる人等々、辛い状況に置かれながら、それを打破できず苦しんでいる環境)で傷ついた人の心に優しく寄り添って慰めてくれるだけでなく、力強く励まして生きる力を与えてくれるものです。
だから、いじめに苦しんで思い詰めて、もし「死にたい」と思うほど辛かったら、だまされたと思って、一曲でもいいから長渕剛さんの歌を聴いて欲しいのです(死ぬよりずいぶん楽な作業なはずです)。僕が要約した言葉よりも、ネット上で見れる歌詞よりも、剛さんの歌声が一番心に響く力を持っているからです。
願わくば、いじめに苦しんでいる一人でも多くの人に、これを読んでもらいたいです。そしてまた、身近にそういう人がいたら、シェアしていただけると嬉しいです。
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