ベルリンでパットメセニーのライブに行ってみた!

先月パットメセニーがヨーロッパツアーをすると知り、チケットを取ったのですが、そのツアーのベルリン公演が昨日(5月13日)だったので、妻と友人と3人で行ってきました!

 ベルリンでパットメセニーのライブに行ってみた! ベルリン 音楽
場所は、ベルリン・テンポドローム(Tempodrom)。この施設も以前から行ってみたいと思っていた場所だったので楽しみだったので、二重に楽しみでした。

今回はメセニー率いるUnity Groupのニューアルバム「Kin (<–>) [feat. Chris Potter, Ben Williams, Antonio Sanchez & Giulio Carmassi]」を中心としたセットリストを予想していましたが、意外にもかなり多くの昔の曲を演奏してくれて、ファンとしては大満足のライブでした。

それにしてもUnity Groupの演奏技術の制度の高さはもはや神業の域で、かつてのPat Metheny Groupも好きでしたが、メセニー(と、曲によってはライル・メイズのピアノ)を引き立たせるバンドとしての性格が強かったPMGに対して、Unity Groupはそれぞれが凄まじい技術を持ってぶつかり合いながら化学反応を起こしていくバンドと言うことができ、その音の応酬に聴き入っているうちに、あっという間に3時間が経っていました。アンコールにも2回も応えてくれて、最後は興奮したベルリンのメセニーファンと一緒にステージ前のスタンディングスペースでビバップを楽しみ、間近でメセニーの指使いを見ることが出来て感無量でした。

 ベルリンでパットメセニーのライブに行ってみた! ベルリン 音楽

メセニーの音楽に出会ったのは大学生の時だったので、もう15年以上も前のことになります。当時、JAZZギターを始めようと思った僕は、仲の良かった楽器店のスタッフに「JAZZギターで有名な人を教えて欲しい」と言ったところ、「そりゃあパット・メセニーとウェス・モンゴメリーだろう」と即答され(これは今思うと素晴らしいアドバイスだったと思います)、すぐにその足で図書館のCD貸し出しコーナーのJAZZの棚にあったメセニーのアルバムを借りたのですが、それがPat Metheny Groupの「Letter From Home」だったのでした。今でもこのアルバムは思い入れの強い一枚ですが、最初に聴いたときは「何故、これがJAZZなんだろう?」と思ってしまったほど、いわゆる一般的なJAZZとは違う性質の音楽でした。しかし、それは良い意味での意外性で、聴くほどに耳に心地よく響く曲の展開とメセニーのギターの旋律にすっかりハマり、また、その後JAZZという音楽の本質を知るほどに、メセニーの音楽はまぎれもないJAZZであると同時に、JAZZを超えた彼にしか創造できない領域の音楽でもあると知りました。

半生記にも書きましたが、大学時代に知り、今に至るまで最も尊敬しているミュージシャンはSteely DanとPat Methenyで、Steely Danに関しては、演奏もさることながら、その卓越したレコーディング技術とアレンジ力に魅了されたのですが、メセニーに関しては、作曲力と、そして彼の(間違いなく世界トップの)ギターの演奏技術そのものが彼の魅力だと思っているので、ある意味で、彼は僕にとって「最もライブで観たいアーティスト」なのです。

彼のライブを観たのは、2007年のNHKホール以来(Meheny Mehldau Quartet)でしたが、正直、その時のステージより、今回の方が何倍も聴き応えがあり(まあ、これは個人的な好みの問題もあるでしょうけど、僕自身はメセニーとメルドーは分けて聴いた方が好きで、二人のアンサンブルはそれほど好みではなかったんです)、メセニー自身も全力で楽しんで音を発しているように見受けられ、本当に素晴らしいステージでした。そして、そんなライブを、この愛すべき街ベルリンで鑑賞できたことが本当に幸せで、いつまでも興奮冷めやらぬ夜でした。


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コメント

コメント一覧 (3件)

  • はじめまして、パット・メセニーの大ファンの瀧本と申します。先日、東京のライブに行ってきました。本当に、書かれていますとおり、今回のライブは、なんというか、気迫というか、魂というか、メンバー全員の意気込みが、素晴らしかったと思います。メルドーとの共演のときは、やはり、お互いに「遠慮」があった分、スパークできなかったのだと思います、PMGのほかで、これほど、のびのびと演奏するパットを見れた(聴けた)ことは、本当に「幸せ」以外の何物でもありませんでした。

  • ↑瀧本さま
    はじめまして。コメントをありがとうございました(レスが遅くなってしまい、すみません)。おっしゃる通り、メルドーとの共演は遠慮というか「探り合い」の要素が大きかったので、よく言えば緊迫感はあるものの、壮大な化学反応のようなものは期待したほど見受けられず、その点に関しては今回のバンドはすばらしかったですね。PMGも大好きですが、どちらかというとメセニーを引き立てるバックバンド的な位置づけに感じるのに対し、今回のUnity Groupは全員が手加減なくぶつかり合っていて、さらに超越したアンサンブルを聴くことが出来たと思いました。

    瀧本さんのブログ記事も拝読しました。東京公演の様子がよく伝わってきて、やはりここベルリンと東京のJAZZの楽しみ方の違いのようなものを感じました(ベルリンは良くも悪くも非常にカジュアルなのです)。

    • 高田ゲンキ さま こんにちは。文章を読んでくださり、ありがとうございます。UNITY GROUPを聴いた歓びを分かち合えることが、大変うれしいです。東京トリフォニーホールはクラシック中心の会場であることもあり、やや畏まっているところがあるのですが、この日は、それが良い方に化学反応し、熱狂的な空間を生みだしたと思います。

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