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あとがき
「マンガ版『僕の半生』|第1話|小学生編」につづいて、今回は中学生編です(中学生編は何回か続く予定で、今回の話は中学1〜2年くらいの設定です)。
読んでいただくと分かるように、中学時代も変わらず友達が少なかったのですが、同時に女の子にも全然モテず、思春期の僕にとって「学校」のみならず「日常」や「人生」は非常に孤独なものでした。周囲の同級生たちが目に見えて大人びていく中、自分は背も伸びず、頭の中も小学生の時とほど変わらず、どんどん周りに置いていかれる気がして焦りばかり感じていました。 そういうやり場の無い孤独や焦燥感を、僕は漫画にぶつけていました。自分にはそれしか取り柄が無いので、「なんとか漫画で自分の存在を世間に認めたもらいたい」というルサンチマンで漫画ばかり描いていました。
当時は本気で「できれば中学の間、遅くとも高校までに漫画家デビューしたい」と密かに思って、ケント紙にGペンと墨汁とスクリーントーンで本格的に毎日漫画を描いていていたのです(ただ、ストーリーを考えるのが苦手で、ひとつの話を最後まで描ききったことは結局ありませんでしたが…)。でも、この時期に僕の画力が飛躍的に向上したのは確実で、小学生編の最後でも書いたことですが、この時期に変に友達に恵まれたり女の子にモテたりしなくて本当に良かったと思うのです。子どものころの僕は弱い人間だったので、もし日常に満足してしまったら間違いなく漫画を真剣に描くことは無かったはずで、その先には当然今の仕事や生き方も無かったはずだからです。 これは僕の持論のひとつですが、そもそも「10代の頃(中学・高校くらい)に異性にモテるかどうか」というのは、人生においてはものすごく優先度の低い、どうでもいい要素で、むしろ経験則的にはそこでモテてしまった人ほど(悪い意味での)根拠の無い自信を持ってしまい、結果的に不本意な状態で大人になってしまうパターンが多いように見受けられるので、僕は「10代の頃はモテないくらいがちょうど良い」と思っています。つまり、若い頃にモテないコンプレックスをバネにして自分の能力を拡張するためにした努力は、確実にその後の人生を豊かにしてくれるものだと思うのですが、僕の10代の頃は(当時としては不本意ながら)まさにそういう状況だったのです。
最後のコマについて
ちなみに、最後のコマの「おれの恋人はまんがや!」というのは、藤子不二雄A先生の傑作『まんが道』のオマージュです。
⬇本物はこんな感じ
最近は『BAKUMAN(バクマン)』とか『RiN』など漫画家(あるいは志望者)を題材にした漫画も増えて、そういうのが僕の10代の頃にもっとあったらな…と思う反面、考えてみれば中学の頃の僕はBAKUMANの最高君やRiNの伏見君みたいなリア充的(?)要素は全く無かったので、読んでもまったく感情移入できなかった気もしますし(憧憬の対象にはなったとは思うけど…)、やはり『まんが道』は限りなく「非リア充」なだけでなく、なにより内容がノンフィクションなので、漫画家の生き様のリアルな緊張感が群を抜いており、やはり漫画家志望の若者のバイブルとしては不動だと思うのです。 マンガ版『僕の半生』・バックナンバー 『僕の半生』(本編)
▶マンガ版『僕の半生』|第3話|中学編-2につづく
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