人は何のために働くか?
そう聞かれて、一言で即答できる人は少ないかもしれません。労働のモチベーション(動機)は人それぞれだし、複合的であることが多いからです。しかし、多くの人の動機に共通して含まれるのが「お金」と「やり甲斐」なのではないかと思います。僕はまさにその「お金」と「やり甲斐」のために働きたいと10代の頃から思っていましたが、優先度が「やり甲斐」の方に非常に大きく偏っていました(というのも、やりたいことが絵、マンガ、音楽などだったので)。なので、大学時代も就職活動を一切せずに音楽活動をしたり自分なりに色々やってみたもののうまく行かず、紆余曲折を経て大学卒業から2年ほど経った頃にデザイナー職で会社員として中途採用で就職しました。この仕事は(マンガ中でも描きましたが)、大好きなMacを使ったクリエイティブな仕事でしたし学ぶことも多かったので、それなりのやり甲斐を感じることはできたのですが、残念ながら給料はかなり低い方でした。そして、皮肉にもボーナス直後に浮かれていた時期(なぜ浮かれていたかというと、会社員としては低い給料でも、音楽活動をしながらバイトで食いつないでいた時代よりは遥かに高給だったのです)に、後輩のボーナス額を聞いてしまうことで、僕はその現実に気づいてしまったのでした。
冒頭に書いたとおり、働く動機は人それぞれです。もしこれが「やり甲斐さえ感じられれば、収入はそんなに高くなくても良い」と思っている人の話だったら、後輩のボーナス額にもショックを受けなかったでしょう。しかし、僕は10代の頃から「好きな仕事」で「たくさん稼ぐ」ことを目標に生きてきたのです。なので、この時の後輩との収入の格差を目の当たりにした時は、本当に目の前が真っ暗になって絶望を感じたのでした。
独立は一発逆転に使えるか?
そんなこともあって、この時期から僕は本気でフリーランスとして独立することを考え始めます。よく「好きなことを仕事にするためにフリーランスになったのか」と聞かれますが、たしかにそれもありますが、僕はそれと同じくらいか、あるいはそれ以上に「たくさん稼げる可能性を感じたから」という動機でフリーランスになりたいと思うようになったのです。
この時思ったのは、「今のまま同じ会社に勤め続けていたら、5年後10年後の収入も満足できる額ではないということが容易に想像できる。それなら、いったんリセットしてフリーランスになって、自分の可能性をフルに活かしてビジネスをしたほうが数年後にはよっぽど稼げてるのではないか」ということです。もちろんその逆もありえるので、これは一種の賭けです。しかし、それはつまり「自分の人生に、まだ賭けられる価値がある要素が残っている」という事でもあります。そう気づいてから、僕は徐々に独立を現実的に計画し始め、時間をかけて少しずつ情報を集めるようになったのでした。
結局、この時から1年2ヶ月後の2004年2月末に会社を辞めてフリーランスになるわけですが、そこから先の話は『フリーランスのススメ』本編で描いているとおりで、結果として独立の翌年には会社員時代を大きく上回る所得を得ることに成功し、周囲に何と言われようとフリーランスになると決断しがことが正解だったことを証明することができました。そんなこともあって、僕がフリーランスになるきっかけを与えてくれた後輩のコージくん(仮名)にはとても感謝していますし、彼とは今でも仲の良い友人関係が続いています。
これはあくまで僕個人の経験談ですし、そこには失敗するリスクも勿論ありえます。しかし、それを前提すれば「フリーランスとして独立することは、一発逆転になり得る」ということは言えると思います。受験や就職活動がうまくいかず望みの職に就けていない人や、今の仕事内容にやり甲斐を感じられない人、現状のライフスタイルに満足していない人は、フリーランスとして独立することが突破口かもしれません。もちろん、ご自身に賭けるべき要素(スキルや知識・経験など)があることが前提ですが。
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