日々、フリーランスとしての情報発信をしていると多くの質問をいただくのですが、その中でも多いのが
というもの。
これ、スキルやノウハウを学ぶ意欲は非常に良いんですけど、そもそも考え方の方向性が違うと思っていて、僕は必ずこう答えることにしています。
そう、僕は基本的に独学を推奨しているのです。
僕が独学を推奨する理由
僕自身も、今の仕事(フリーランスのイラストレーター/漫画家 ときどきデザイナー)に必要なスキルは、ほぼ独学で身につけました。だからこそ感じるのですが、プロのクリエイターになるためのスキルを身につけるには、必ずしも学校に通う必要は無いし、むしろ独学のほうがメリットが大きいとさえ考えています。
また、最近はフリーランス志望者が学校(スクール)だけでなく、オンラインサロンに入ったり情報商材を買ったりする傾向も強くなってきましたが、これも同様で基本的には不要(というか避けるべき)と僕は考えています。
では、その理由を挙げていきます。
理由①:独立後にトレンドの変化に対応できるようになるため
最初に最も大きな理由をもってきました。ちょっと見出しだけだと何のことか分からないかもしれないので説明します。
フリーランスになるためのスキルは
- 基礎
- 応用
- 売る技術
の階層構造になっていると僕は考えています。
⬇図にするとこんな感じです。
具体例として、たとえばフリーランスのイラストレーターの場合は⬇こんな感じになります。
この一番土台になっている部分(基礎画力・デッサン力)だけは人に教わらないと身につけるのが難しいので教室やスクールに行くべきですが、それ以外のスキルは独学で十分だと考えています。
大事なのは、基礎の部分は普遍的・本質的な要素なので数十年経っても変わらないのですが、応用(スタイルやタッチ)や売る技術(マーケティング、営業)は数年単位でトレンドが変化するものということです。
且つ、この応用と売る技術は密接に関わっていて、ある意味マーケティングから逆算した商品開発(改良)をしていく必要があるので、フリーランスとして長期間活動し続けたいなら、ここは自力でやっていける力が必要なのです。
独立前後にこうした「スタイルやタッチの確立」や「マーケティング、営業」を自力でやるのは非常にたいへんですが、ここを自分の力で乗り越えた人は、5年10年経ってマーケットのトレンドが変化した時にも、自分の洞察力で柔軟に対応して行くことができるのです。逆に言えば独立時にこの部分を他人に任せてしまった人は、直後の滑り出しは良くても、トレンドが変化してしまった時に対応できず(あるいはその変化に気づくことさえできず)数年で廃業を余儀なくされるケースも多いということを知っておきましょう。
基礎的スキルだけは良い先生について学ぶべきだけど、スタイルやビジネスは可能な限り独学を勧める。なぜならマーケットのトレンドは数年単位で変化するので、他人のノウハウを買って独立した人は時代の変化に対応する力が無く淘汰されやすいから。そこをひとりでやってこそ「独立」。まさに字の通り。
— 高田ゲンキ (@Genki119) February 11, 2019
デッサンを教室で学び、イラレを独学するだけでもこのくらいのイラストは描けます(逆に言えば美大やイラストスクール出てても、もっと画力やスキル低い人はたくさんいます)。マーケティングも営業も独学で大丈夫です。お金は学費やサロンにかけずに良いMac買うほうが良い。https://t.co/oIK3rgW3r8
— 高田ゲンキ (@Genki119) March 15, 2019
理由②:視野狭窄が生まれやすい
また、特定のコミュニティに属すると視野狭窄が生まれやすいというデメリットが生まれます。学校もオンラインサロンもそこに入ってしまうと、どうしてもその中でのメンターや生徒・メンバー同士の関わりばかり気になってしまい、外の世界への関心が希薄になりがちですが、この視野狭窄(視野が狭くなること)はフリーランスでやっていく上で本当に危険なのです。なぜなら、マーケットも仕事も、そのコミュニティの外に存在しているからです。
また、学校やオンラインサロンなどにお金を払うと、有料だから有益に違いないという錯覚が生まれ、これも視野狭窄に繋がります。しかし、もちろん情報の値段とその有益性には相関関係などありません。大事なのは有料であれ無料であれ、その情報に本当に価値があるかどうかを見極める審美眼を持つことであり、そういった意味でも視野狭窄に陥ることはリスクなのです。
理由③:どうせお金を使うなら良い機材を買ったほうが良い
えてしてイラスト学校(専門学校やカルチャースクール等)は学費がそれなりに高いですし、オンラインサロンだって継続すれば年間の会費はバカにならない額になります。もしお金が有り余ってるなら話は別ですが、自分の資金に限りがある場合は機材投資を最優先にしましょう。
以前⬇こんなツイートをしたところ、かなり反響があったのですが、
フリーランスクリエイター志望の人も、基本何を信じようが勝手だけど、もし今Adobe CCも契約してない状態でオンラインサロンに月数千円払ってるなら優先順位全く逆だから即退会してその金をAdobe CCの契約に回そう。フォロワー数とかネットワークが役立つのはプロレベルの制作環境とスキルが前提だよ。
— 高田ゲンキ/漫画『フリーランスで行こう!』発売中 (@Genki119) 2019年2月12日
本当にこういう人がけっこういるのです。学校に行くのもサロンに入るのも、もちろん最終的には個人個人の自由ですが、まずは機材への投資をして(クリエイターになりたいのなら、プロの制作に対応したハイスペックなパソコンと、Adobeなど制作に使用するソフトを購入・契約するなど)、その上で考えるべきだと考えましょう。せっかくノウハウを学んでも、それを再現する環境を持っていなければ意味は無いのです。
情報商材も不要
また、学校やオンラインサロンだけでなく、いわゆる情報商材も必要ないと僕は考えています。
情報商材と言ってもその定義は非常に難しいところですが、よく見るのは「私が〜で成功した方法」みたいなタイトルのサイト(インスタ等でリンクを張ってる人も多い)で、ダラダラと長い文章の成功談が書いてあり、最後に「成功したい人はこちらから申し込み」みたいなボタンがついているやつは高確率で悪徳情報商材です。
また、最近は有料noteが流行っていますが、「〜を〇〇する方法」みたいなタイトルで一記事数千円もするモノは、この手の情報商材に該当すると考えていいでしょう。noteの特性上、お金を払ってみないと内容が全く分からないので、買ってみても有益かどうかわかりませんし(なのに数千円は高すぎる)、そもそも数千円かけるなら、そのお金で独学のために専門分野の書籍を数冊買う方が良いでしょう。
まとめ
以上、学校・オンラインサロン・情報商材が不要な理由をまとめてみました。
冒頭にも書いたとおり、僕自身、現在仕事で使っているスキルのほとんどは独学で身につけたものなので、フリーランスになるために学校やサロンなどを利用するほうが圧倒的に有利か?と言うと全くそんな事はないと思います。むしろそういったものに頼らずに自力で道を切り開ける人のほうが、独立してからも生き残りやすいと言えるでしょう。
もちろん、だからといって学校やサロンを完全否定するつもりはなく、そういうコミュニティで才能を開花させる人もいるし、ストイックに仕事にするかどうかよりも、仲間を作って楽しく過ごしたいという人もいると思うので、そういう場合は利用するのもアリだと思っています。
続きはnoteで!
また、本記事に関連したもう少しディープな(公には書けないような)内容を有料noteにまとめてみました(300円)。
・本記事を読んでもイマイチ納得いかなかった人
・もっと具体的に学校やサロンの裏を知りたい人
・僕の本音トークを垣間見たい人
は、是非アクセスしてみてください。
では、良い独学ライフを!🤓
コメント
コメント一覧 (2件)
ゲンキさん、こんにちは。
実は私は、少し前に「近いうちにTwitterアカウントを削除します。職人ライターとして仕事に集中します。ゆくゆくは雨宮紫苑さんのようになりたいです。」と宣言し、現在はSNSを断ち、フリーランスになる準備を始めている者です。
※プライベートな内容かつ、年単位で職人的な活動がしたいこともあり、こちらではライター名は伏せさせていただきます。
今でもゲンキさんのTwitterとブログは毎日拝見させていただいております。現在はライター業界も徐々に「コミュニティ化」が進んできている印象があり、とても考えさせられる内容でした。
すでにライター向けの専門書籍を3~4冊購入し、ライター関連の情報発信を積極的にしているブログを参考にしながら進めております。雨宮さんのこれまでの経歴も参考にさせていただいています。まずはクラウドソーシング経由でどんどん応募し、ライティング以外の知識(英語など)をコンテンツにしながら事業拡大を図っていきたいと考えております。
私も一度は、独立への不安からサロンなどに手が伸びそうになったのですが、活躍されている方の多くは独学なので、まずは自力で泥臭く必死にやってみようと思います。
余談ですが、「会社員が務まらない者にフリーランスは無理だ」という意見を少なからず耳にします。
これは個人的には必ずしも正しくないと考えています。雨宮さん含め、私の尊敬するフリーランサーの多くは「適性による。会社で上手くいかなかったからといってフリーランスでもダメとは限らない。」という考え方のようです。ゲンキさんのブログやTwitterからも、類似の価値観がうかがえます。
私はそのような価値観を持つ方々に、非常に励まされております。
お忙しいところ恐縮ですが、可能であればゲンキさんなりのご意見をいただけると幸いです。
長文失礼いたしました。
追記:
あの時はTwitterで励ましのお言葉をかけていただき、ありがとうございました。
前向きに再出発したいです。