僕は高校受験に失敗した
5回にわたって描いてきた「中学編」最終話。今回は受験についてです。
僕は、志望していた地元の県立高校を受験し、不合格でした。
この事実は当時の僕にとって、受け入れがたいほどの挫折で、その後10年以上にわたって「絶対に触れたくない恥ずかしい過去」として僕の心に影を落とし続けました。
ちなみに、この話は「僕の半生」本編でも触れなかったので、おおっぴらに話すのは初めてのことだと思います。なぜ、本編の方で触れなかったこと言うと、内容が内容なので文章だけだと妙に深刻な感じになってしまって、自分が伝えたいニュアンスで伝わらない気がしたからです。
高校受験の失敗を他人に笑って話せるようになったのは、30歳を過ぎてからだったと思います。つまり、僕は少なくとも15年くらい心のどこかで高校に落ちた経験にコンプレックスを抱いて生きていたことになります。その間、僕は(特に地元の人と)高校受験について話すことを意識的に避けてきました。不思議なことですが、いじめらたり女の子にフラれたことより、この高校受験失敗は僕の中で「知られたくないこと」ダントツ1位だったのです。
今思えばたいしたことじゃない
しかし、いろいろ経験して振り返ってみると、あれほど苦しんだことはいつの間にか「どうでも良い過去」になってました(だからこそ、こうしてマンガにも描けるわけです)。
いじめに関しては、それが僕の人生においてどんなに重要なきっかけになっていても「いじめに遭って良かった」とは思えないのですが(というか、思わないようにしている)、この高校受験の失敗に関しては「あの時落ちて良かった」と今は思っています。なぜなら、そのコンプレックスをバネにしたからこそがんばれた局面が、その後何度もあったからです(もし、志望校に受かっていたら、どこか満たされてしまってハングリーになれなかったと思います)。
受験に失敗した人に言いたいこと
狙ったわけではありませんが、このマンガの話はちょうど今頃の季節の話です。なので、もしかしたら「今年受験に失敗して落ち込んでいる中学生や高校生にも読んでもらえるかもしれない」と思いながら描きました。
僕が受験に失敗した時一番辛かったのは、周りの同世代だけじゃなくて大人たちまで、高校不合格という事実をタブー扱いして「腫れ物にさわる」ような態度だったことです。僕はたぶん誰かに「そんなのたいした問題じゃないよ!」と言って欲しかったんです。でも、周囲の人たちの態度は違いました。しいて彼らの態度を言葉にするとしたら「あんなに惨めな経験をした子に、どうやって声をかけて良いか分からない…」という感じで、そういった彼らの振る舞いは余計に僕を惨めにしました。
なので、経験者として今、受験で挫折した若い人に言いたい(あるいは、周りにいたら伝えて欲しい)のは「受験に失敗することは、そんなにダサくない」ということです。
あまりピンと来ないかもしれません。しかし、「まったく挫折を経験しなかったばかりに、挫折を味わった子どもを励ますことさえできない大人」の方がよっぽどダサい思いませんか?(思いますよね)。残念ながら日本の大人の多くはそういう人たちです。しかし、受験に失敗した人は、その経験を通して良い意味での少数派(つまり励ますことができる人)になれる可能性を手にしており、それは、志望校に行くことよりも貴重な経験と言えるのです。
「どれだけ豊かな人生を送れるか?」とか「大人になってから、どれだけお金を稼げるか?」という問題は、受験の合否とは関係ありません。たとえば、もし僕があの時志望校に受かっていたら、おそらく今もっと経済的に貧しく、つまらない人生を送っていたのではないかとさえ思うのです。
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コメント
コメント一覧 (2件)
ほとんど同じような経験をしました。今でこそ乗り越えましたが、落ちて滑り止めの高校へ行ったという事実を受け止めるのには、周りが気になり、苦しみました。
話は変わりますが、ヨーロッパ移住を目指しており、参考にさせていただいております。また新しい記事を楽しみにしております^_^
↑Ayanさん
コメントありがとうございます。
そうでしたか。つらかったですね(わかります…w)。乗り越えて強くなれるのは良いのかもしれませんが、やはり出来ることならこういう経験をする人が減った方が(あるいは、経験をしたとしても、これほど惨めな扱いを受けないようにした方が)良いと思い、一石を投じたい思いもあって、これを描きました。
最近は別連載の『ライフハックで行こう!』の方で忙しく、こちらはあまり更新できていませんが、こちら↓も楽しんでいただければ嬉しいです。
https://thinkit.co.jp/series/5800
今後もがんばって描いていきますので、よろしくお願い致します!