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ウィーン3日目。
気持ちよく目覚めて、朝食を求めてホテルから外に出てみると、道路いっぱいにランナーが走っているのが見えました。
そう、この日はウィーンマラソンだったのです。事前に知っていたのですが、それにしてもすごい参加者の数で驚きました。聞いた話によると、世界遺産(シェーンブルン宮殿)を見ながら走れるということもあって、このマラソンはかなり人気とのこと。前の人を追い抜くのもひと苦労なほどランナーが多くて、これって競技としてどうなんだろう?と思うほどでした。
交通(バス・トラム)もかなり制限されていたので、Uバーン(地下鉄)に乗って中心地に移動することに。
カフェ ツェントラル(Central)
朝食を求めて、カフェ ツェントラルへ。地下鉄U3をHerrengasse駅で降りて少し歩くと着きます。人気のカフェですが、中途半端な時間に行ったので運良くすぐに席に通してもらえました(お昼過ぎに店から出るときには長蛇の列でした)。
お店に入ってまず驚くのはその建築で、宮殿の中にあるので100年以上タイムスリップしたような気持ちになります。天井や柱が重ねてきた時間に思いを馳せながら、僕らは薄いパイ生地とクリームを丁寧に積み重ねた絶品のミルフィーユをいただきました(うまい!)。
⬆カフェツェントラルのミルフィーユ(妻撮影)。
[map lat=”48.210502″ lng=”16.365457″]Café Central[/map]
ピアニスト 滝澤志野さんとの時間
カフェ ツェントラルをゆっくりと堪能したあとは、徒歩でカールスプラッツ駅へ。ウィーンは街が小さいので、地図で見て想像するよりも簡単に徒歩で移動が出来ます。カールスプラッツ駅では昨日に引き続き、ピアニストの滝澤志野さんと待ち合わせ。彼女は本番前の忙しい時期にも関わらず、仕事の合間の時間を割いてくれました。
ここで改めて滝澤志野さんについて少し。
志野さんは東京の音大在学中からオペラ及びバレエ伴奏のピアニストとして活動を始め、2004年より新国立劇場バレエ団のピアニストに抜擢されます。その時点で既に「すごいな!」と思ったものですが、彼女がすごいのは更に自分の理想を求めて2011年冬に欧州に渡り、「欧州各劇場の門戸を叩く就職活動旅」を敢行して、見事に「一番の憧れだったウィーン国立歌劇場と専属契約を結び」、同年夏にウィーン移住を果たしたのです(志野さんのブログより一部引用)。
少し遅れて2012年に僕も夫婦でベルリンに移り住みましたが、Macやインターネットというテクノロジーの恩恵を最大限に活かした裏ワザ的な生き方をしている僕と比べると、志野さんの「人生に立ちはだかる壁に正面から挑んで突破し続ける生き様」はあまりにも清々しく、日頃滅多に他人を尊敬しない僕が、無条件に敬服してしまう数少ない日本人のひとりなのです。
そんな彼女とは11年ほど前にひょんなことから出会い、誕生日が同じ日(11月9日)であることなどから意気投合して仕事や人生について色々語り合った仲でしたが、夢を語り合っていたあの頃、まさか10年後にお互いが欧州に住んでいるとは思いもよらなかったわけで、人生って本当に面白いものだとつくづく思ってしまいます。
カフェでのんびりランチをしながら4人でいろいろな話をしたあと、幸運なことに少しだけ志野さんの仕事場や彼女のピアノの音を聴く機会を得られました。8年ぶりに聴く彼女のピアノの音は、やはり積み重ねた経験に裏付けられた説得力に満ちていて、ほんの数分でしたが得難い重みのある時間を過ごせました。音楽に関心が深い妻と妹にとっても感動的な経験だったようで、本当にウィーンで彼女に会うことができて良かったと思いました。
そこでの出来事はプライベートな関わりなので詳細には書きませんが、志野さんのおかげでウィーン旅行があまりにも意義深いものになったので、せめてものお礼にと、ベルリンに戻ってから夫婦で志野さんのブログを作らせてもらいました。
特に彼女のような海外で大活躍する日本人にはもっと積極的に自身のことを発信してほしいと思っていたので、ブログリニューアルに関われて光栄ですし、このブログを通して今後もっと多くの人が彼女の活躍に関心を持つことになると良いな…と思ってます。ブログでは今後の演奏予定もアップされているので、ウィーン旅行に行かれる方や日本国内でも彼女の演奏を聴きたい方は、是非チェックしてみてください。
美術史美術館(Kunsthistorisches Museum)
夕方志野さんと別れて、我々3人は美術史美術館へ。
僕は絵描きのくせに伝統的な美術への関心が薄く、美術館などにも普段足を運ぶことが少ないのですが、ここは妻のリクエストに加えて、僕もかつて仕事で聖書のイラストをたくさん描いた際に参考にしたブリューゲルの『バベルの塔』が所蔵されているということで、それなら是非見たい!と思ったのでした。
ブリューゲルの原画は、本やネットで見たものとはやはり比較にならない説得力があり(その理由のひとつは、とにかくデカい!ということだと思います。印刷やネットでは原画ほどの細部が見れませんから)、アナログ絵画の原画の持つパワーを改めて思い知らされました(でも、僕はやっぱりデジタル描画しかしないつもりですが)。
世界一美しいカフェ「カフェ ゲルストナー」
美術史美術館に行ったら、是非行ってみたかったのが「世界一美しいカフェ」と言われている、カフェ ゲルストナー。閉店間際でしたが、滑り込んでコーヒーをオーダーすることができました。
⬆たしかにこんな内装のカフェは、世界広しと言えなかなか無いでしょうね!
個人的には、朝行ったツェントラルの方が好きでしたが、美術史美術館に行ったらついでにこの「世界一美しいカフェ」に寄って、コーヒーやスイーツを楽しむのも一興かと思います。
[map zoom=”15″ addr=Maria-Theresien-Platz, 1010 Wien]美術史美術館[/map]
MuseumsquartierからKarlsplatz周辺を散策
美術史美術館を出て、次の待ち合わせまで少し時間があったので、カールスプラッツまで散歩。それにしても連日天気に恵まれ(まあ、僕らの旅行はいつも天気運最高なんですけど)、加えてこの時期の欧州は日が長いので一日外で楽しめます。
古いトラム
散歩をしていると、レトロなトラムが横を通り過ぎていきます。ウィーンの魅力のひとつは、この古いトラムでしょう。博物館から飛び出してきたような旧型のトラムが、クラシカルなウィーンの町並みに良く合っています。そういった古い景観を守る姿勢がいかに大事なのか、欧州に住むようになってから知るようになりました。
ドローンで空撮している若者
かと思うと、今度は頭上にドローンを発見(写真中央に小さく写っている、小型のラジコンヘリコプター)。これはおそらくDJI Phantom 2という機種だと思います。操縦者を探してみたところ、交差点中央の芝生で操縦している若者を見つけました。GoProを搭載して、上空から映像を撮っていたようです。ベルリンもそうなんですけど、ものすごく歴史的な町並みの中で最先端のテクノロジーを普通に使ったりしていて、そのバランスもまた欧州の魅力だと思っています(日本だと、首都のど真ん中の交差点でドローンを飛ばすなんて、まずできないでしょう…)。
ロードバイクの女性
カールスプラッツの交差点で、颯爽と自転車で走り抜ける女性を流し撮り(流し撮りとは、被写体の動きに合わせてカメラを動かして撮影すること。こうすることで背景が流れて被写体にピントが合った写真を撮ることができる)。僕自身、自転車に乗ることが趣味ですが、最近は街行く自転車を流し撮りするのも趣味のひとつなんです。ヨーロッパは自転車文化が盛んなので、どこに行ってもかっこいい自転車とサイクリストに溢れていて、自転車オタクの僕にとってはそういう意味でも天国です。
ウィーン歌劇場
ぶらぶら遠回りして歩いてウィーン歌劇場前に戻ってきました。ここでもレトロなトラムが通り過ぎていき、旅情たっぷりです。100年くらい前からあまり変わってないと思われる景色を見て、この建物が見てきた歴史に思いを馳せました。
アウグスティナーケラー (Augustinerkeller)
カールスプラッツの駅で父とその旅仲間(総勢4人のご年輩衆)と待ち合わせ、アウグスティナーケラーという有名なレストランへ。前評判は賛否両論でしたが、オーダーしたシュニッツェル(カツレツ)は期待以上に美味しかったので、気軽にオーストリア料理やお酒を楽しみたい人にはおススメだと思います。
[map lat=”48.204683″ lng=”16.368234″]Augustinerkeller[/map]
カフェ ザッハーのザッハトルテ
アウグスティナーケラーを出て、父と我々3人の高田家組だけ残り、ちかくの「カフェ ザッハー」へ。ここはザッハトルテ発祥の地として有名なので、チョコレートに目がない僕としては行かないわけにいかないのです。
⬆これが本家本元のザッハトルテ! もちろん超美味。コーヒーと一緒にいただいて大満足でした。
[map lat=”48.210502″ lng=”16.365457″]Café Sacher Wien[/map]
国立歌劇場の屋外オペラ上映
カフェ ザッハーから出ると、目の前はウィーン国立歌劇場。カールスプラッツ駅に向かう途中で、歌劇場前の大画面で今まさに上演されているオペラをライブ中継していました。巨大モニターの前には席まで用意されていて、既に満席。道行く人も立ち止まって、この無料オペラを楽しんでいます。このライブ中継に関しては、偶然昼に志野さんから聞いていたので、僕らはすぐに「あ、このことを言っていたんだ!」と思い出し、少し鑑賞することに。しかし、僕ら以上にこの様子に感動していたのは、僕の父でした。
僕の父はパイプオルガニストで、クラシック音楽を専門にしているのですが(そういうわけで、今回の父の旅行もモーツァルトの足跡をたどる旅程でした)、伝統的なクラシックの文化がこうして市民に無料で(しかも最新のAV機器を使用して)開かれている様子は衝撃だったようで、感銘してしばらく立ち尽くしていました。
充実した一日の最後にオペラまで楽しめて、得した気分でホテルに戻りました。
4日目(最終日)につづく
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