マンガ版『僕の半生』|第5話|中学編-4
人生最悪のいじめに打ち勝つの巻③につづく
いじめが体を鍛えるきっかけに
前話に続き、中学三年の時にいじめを受けた話です。
これは漫画に描いた通りですが、とにかくいじめられて、嫌がらせや暴力を受けても何もやり返せない状態がしばらく続き、自分が何とも情けなく惨めな気持ちになったのがきっかけで「体を鍛えよう」と思うに至りました。
それまでも何度もいじめに遭ったことはありましたが、ただのシカトだったり、心ある先生や友達が仲裁してくれたり…ということが多かったのですが、この中三のいじめだけは誰も助けてくれず何もすがるものが無かったので、そのような追いつめられた状況によって「自分を守るのは自分」ということに僕は気づかされたのでした。
僕は超貧弱だった
それまで僕はものすごく貧弱な子どもでした。
腕立て伏せも逆上がりもできず、体育の授業は死ぬほど嫌いで、体を動かすよりも小説や漫画を読んだり漫画を描くことの方が断然好きな文化系少年でした。
そういうわけで、体を鍛えようと思ってダンベルを買ってきてトレーニングを始めたばかりの頃は何とも無様な状態だったのですが、成長期だったこともあって1ヶ月も鍛えると見違えるような体になりました。
そのような「実感できる自分自身の変化」は、初めてだったので非常にセンセーショナルな経験で(ある意味初めての成功体験だった)、僕はそのまま体力作りにハマってしまい、体を強くすることだけを考えて中三の1年弱を過ごしました。
お菓子もジュースもやめた
漫画の中でも書きましたが、この時期1年弱にわたって僕はお菓子とジュースを断ち、中学卒業まで一切口にしませんでした。
それまでの僕はチョコとかコーラとか甘いものが大好きで、太らない体質を良いことにそういうものを口にしながら漫画を書いたり読んだりする時間を何より愛していたのです。しかし、強い身体を作るためにはそれではいかん!と思ってキッパリやめ、それ以降は外で買い食いするときもサントリーウーロン茶か牛乳のみ…という、徹底した硬派ぶり(?)でした。
この極端な行動は今の僕の原型で、時に周囲からストイックと評される「やると決めたからには徹底してやらないと気が済まない性分」はこの頃に目覚めたみたいです(ちなみに、この性分は会社員としての適性という点では絶望的ですが、フリーランスのクリエイターという職業とは相性が良いと感じています)。
受験と体力作り
ところで、普通は運動部員の中学生たちは3年生の1学期いっぱい(長くて夏休みまで)で現役を退き、それ以降は受験の準備に集中しますが、僕の場合は運動部員たちが引退する時期に運動に目覚め、受験勉強そっちのけでトレーニングばかりしていました。当然成績は下降し、先生も親もこれには頭を抱えていましたが、当時の僕はそうするしか無かったのです。
もちろん、受験勉強に集中できればそれが一番良いわけですが、それは最低限の人権が守られる生活環境があって初めてできる話で、当時凄惨ないじめに遭っていた僕にとって、「来年の進路をどうするか?」よりも「明日生き延びるために自分の身をどう守るか」「自分の人間としての尊厳をいかに保つか」の方が喫緊の問題だったのです(受験の前に鬱病になったり暴力で身体的障害を抱えてしまったら進路どころではないので、今思ってもその優先順位は正しかったと思っています)。
そしてこの時期の、いじめは見て見ぬ振りをして受験に関してはヒステリックに干渉してくる周囲の大人たちの態度に、僕はますます不信感を持つようになりました。
トレーニングの重要性
結果として、この体力作りは僕の人生において非常に大きな転機でした。
それまで自分は運動が苦手でトロいと思っていたのですが、筋力が平均以上になるにつれて、運動全般への苦手意識がなくなり(逆上がりができなかったのも腕の筋力の問題だった)、2学期以降は体育の授業も苦ではなくなり、それどころか、体育の時間は合法的?に僕をいじめてきた兵東の子分たちに仕返しをできる、ありがたい時間になりました(サッカーの授業で故意にタックルしたり…等々)。
また、体を動かすことで思考もポジティブになり、クヨクヨ悩む時間が無くなりました(クヨクヨするくらいならジョギングしろ!と思うようになった)。
このトレーニングはその後も高校2年くらいまで習慣化して続けていたのですが、その時期の努力のおかげで20年以上経った今でも、僕の身体は比較的筋肉質でよく動き、「何かスポーツされてるんですか?」と聞かれる体型を維持しており(現在は特にトレーニングもせず、たまにジョギングしたり趣味で自転車に乗る程度)、基礎体力のおかげでバリバリ働いたり遊んだりもできるので、この年になってますます「人生の充実度は体力に比例する部分が大きい」と実感しています。あの頃必死でトレーニングしたことは色々な意味で重要な意味があったと思うのです。
いずれにしても、強い肉体を作ることで僕が自分に自信を持てるようになったのは間違いありません。そして、僕の人生においてこの過酷なイジメ被害が無かったら、僕は貧弱な身体のままトレーニングもせずに大人になっていた可能性が高いと思っています。
そう考えると、今の僕を形成する上で不可欠な出来事だったと思うのです(だからといってイジメは許されることではありませんが)。
暴力的イジメに遭っているならトレーニングしろ!
前回の漫画のあとがきでは、「いじめらえたら逃げろ!」ということを書きましたが、ひとつ付け加えると、もし今あなたがいじめられていて、それが(シカトとかではなく)暴力的なイジメで、自分の肉体が弱い…という自覚があるとしたら、トレーニングをすると良いと思います(主に男性向けに言っていますが、女の子も無駄ではないかも)。
もちろん無駄な喧嘩は避けるべきですが(特に不良相手だと、相手が複数人数だったり凶器を使ったりするので、極力避けるべき)、どうしても暴力的な状況を避けられない時に自己防衛できる程度の体力をつけておくのは、自分自身の自信を取り戻すことにもなると思います。そして、何よりイジメの加害者たちは弱い人間を好んで攻撃する習性があるので、体力でかなわないかも…と感じると、暴力的な攻撃はしてこなくなることも多いのです(あくまで僕の経験上の話ですが)。
でもやっぱり「逃げるが勝ち」だと思う
しかし、やはりよほどの状況でない限り、イジめられたら「逃げる」に限ります。
とりあえず、僕はトレーニングをするようになってから、逃げ足にも自信がついたので、中学の廊下で不良と鉢合わせると、ソッコーで踵を返して逃げてました。中にはムキになって追いかけてくるのもいましたが、毎晩走り込んでいたので(笑)必ず逃げ切っていました(不良の中には中学生のくせにタバコを吸ってるヤツも多かったので持久力が無かった)。
あと、この「逃げる」という言葉に対してSNSで一部過剰に反応している人がいましたが、最悪の場合、僕は「イジメがひどかったら無理して学校に行かなくても良い」、つまり「登校拒否しても良い」と思っています。
大人のほとんどは、そんなことはけしからん!と言うと思うんですけど、もしいじめられて学校に行きたくなかったら行かなくていいと思っています。
ある人は僕のブログを読んで「逃げろとはなんだ!自分はいじめられたけど耐えて学校に行ったぞ!」みたいなことを言ってきましたが、それはその人が勝手に選んだ選択であり、それを他人に押し付けるべきではありません。
「進学」は、人間としての尊厳が保てない環境を我慢するほどの価値は無い
だいたい、僕を含めいじめに遭っている(遭っていた)中学生たちが、それでも我慢して学校に通わなくてはいけない大きな理由のひとつは「受験」のためなのです。
当然中学を卒業しないと高校も行けないのですが、そもそも今の日本の教育制度が時代に合っていないので、人間としての尊厳が保てない環境を我慢してまで高校進学する価値はありません。
高校に行かないで、その3年間をネットで知識を得たり、英語やプログラミングを勉強した方が(あるいはいっそのこと海外留学した方が)将来的によっぽど社会的競争力の高い大人になれる…という考え方もあります。
親も含めてそういう生き方も含めて柔軟に考えるべき、という意味で「逃げろ」と言っているのです(この辺の教育論については、そのうち改めて書こうと思います)。
▶第5話 人生最悪のいじめに打ち勝つの巻③につづく
- フリーランスってなに?その働き方とは?
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コメント
コメント一覧 (2件)
はやく続きが読みたい!!
イラストとドイツ在住のキーワードでたどり着き、楽しみに読ませて頂いています。色々な指南記事が非常にためになっています。マンガの執筆も応援してます。
ゆりこさん
コメントありがとうございます。イラストやドイツ関連の検索で来ていただき、漫画まで読んでいただけるなんて嬉しいです。漫画の続きと、指南系(?)記事のアップ、今後もがんばりますので、よろしくお願いします!