奥様との出会いや、結婚について
ゲンキ: 齋藤さんは、1998年に渡独されたんですよね?
齋藤 : うんうん。そうです。
ゲンキ: 僕は齋藤さんと同い年だからこそ分かるんですけど、それって本当にスゴい。僕は当時まだ大学生。地元(神奈川)にいてバンドとかやっていて、まあそれはそれで頑張ってはいたけど将来設計とか全く考えてなかったし、何よりネットが全然普及していなかったあの時代に、単身海外に渡って人生を切り拓こうとした、その心意気というか本気度は尊敬でしかないです。
奥様とはドイツで出会われたんですよね?
齋藤 : そうです。フランクフルトの美容室時代に。そこのお店のお客さんとして来てくれて仲良くなって、2000年くらいから付き合うようになって、2004年に結婚しました。
出会った当時は妻はフランクフルトの日系企業で会社員をしていたので僕より高給取りで。それは色々と助けてもらいました(笑)
ゲンキ: お子さんは、今ふたりいらっしゃいますよね?
齋藤 : はい。娘がふたりです。上の子は2007年に産まれました。フランクフルト最後の年で、「そろそろ独立してドイツのどこかで店を持つぞ」っていうタイミングでしたね。
ゲンキ: おお! 第一子のご出産と独立開業の準備が同じ時期だったとは…。じゃあ、その時期はけっこう大変だったんじゃないですか!?
僕もまさに今ドイツで育児をしていて(2016年に息子が産まれ、現在ベルリンで3歳児の育児中)、本当に海外での育児のたいへんさを実感しているところなので、その話は非常に興味があるんですけど。
齋藤 : そう、まさに上の子が生まれる時期と前後して、ドイツの色んな街に出向いて店の場所を探したり色々とリサーチもしていたので、その時期はたしかにたいへんでしたよ。妻が妊娠中だったから、ひとりで物件探しに行くことも多かったし。でも、逆にこの時期だったからこそ「自分も父親になるんだから、がんばって独立するぞ」というモチベーションも得られて頑張れたというのもありましたね。
ゲンキ: ああ、それは分かる気がします。僕も本を出版した時期がちょうどそんな感じでした。
齋藤 : 幸い、子どもが元気に産まれて育ってくれて、移動や引越しは子連れでも何とか楽にできたんですけど、とにかくその時期は悲惨なほど貧乏でしたよ(笑)。ああ、独立するってこういう感じなのか…って痛感しましたもん。
ゲンキ: で、二人目のお子さんは4歳違いでしたっけ。
齋藤 : そう。2011年にベルリンで産まれました。その頃はちょうど店の経営がやっとよくなりつつあった頃でしたね。ある意味、オープンしてから数年は経営がたいへんすぎてそれどころではなかったので…。
ゲンキ: なるほど。ってことは下の子ももう今年で9歳か。今ではお店の方も順調だし、お子さん二人もずいぶん大きくなって、ベルリンで幸せに暮らしてる…という感じなんですね。
齋藤 : まあ、もちろんまだまだやりたい事はありますけど、おかげさまでひとまず家族四人で幸せに暮らせるところまでは来ましたね。途中色々とたいへんではあったけど、今思うと、やっぱり思い切ってドイツに来たり自分のお店をオープンして良かったと思います。
ゲンキ: 僕も日本人夫婦で移住してベルリンで育児をしているので、齋藤さんのように頑張って成功している先輩移住者の話はとても参考になったし、何よりとても励まされました!
齋藤 : 良かったです(笑) 日本の美容室業界に居心地の悪さを感じている若い美容師の方たちにも「こんな生き方もあるのか」という選択肢のひとつになれたら嬉しいと思いますね。
ゲンキ: まったくですね! 貴重なお話、どうもありがとうございました!!
聞き手 / 高田ゲンキ
撮 影 / 高田美穂子
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