僕の半生 ④ | 大学時代編| 1997年(19歳)〜2000年(22歳)

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大学時代の4年間は、それまでの人生の中で最も楽しく解放された時間でした。車ばかり走らせて(車通学でした)、タバコばかり吸って(後に禁煙)、お金はいつも全然無い学生時代でした。勉強は好きな授業だけ熱心にやって、それ以外は単位を落とさない程度に出席し、後は音楽活動をしたりアルバイトをしたり、とにかく好きなことをしていました(学生としてはダメな文系大学生の典型とも言えますね…)。

大学の勉強に関しては、特に論文やレポートを書く楽しさに目覚め、ゼミの教授も僕の文章を高く評価してくれたので、よく本を読み文章をたくさん書きました。僕の論理思考の基礎は、この時期に鍛えられたと思っています。

アルバイトは大学入学と同時に自宅近所のラーメン屋「やまかわ」で雇ってもらいました。このラーメン屋のアルバイトは意外と肌に合い、結局5年間も働きました。特に出前のためにカブ(HONDAの50ccのバイク)で市内を走り回って色んな人の家や繁華街のアヤしいお店(笑)に配達に行ったり、深夜のラーメン屋に来る色んなお客さんと話したりするのは、20歳そこそこの僕にとってとても刺激的な社会経験でした。

就職活動については、入学当時から「俺は就職活動はしない!」と公言し、周囲からは「そういうことを言うヤツほど、誰より早くスーツを着て就活に励むものだ」というようなことを100回くらい言われましたが(こういう根拠の無いことを無責任に言い放つ大人が世の中にはとても多いので、若い人は全部無視しましょう)、とうとう本当に卒業するまで就活をせず卒業しました(一社も資料請求せず、一社の面接も受けなかった。新卒一括採用の就職活動システムついては思うところがあるのですが、とても長くなりそうなので、これもまた別の機会に)。そのかわり、在学中からプロのミュージシャンを目指して本格的に音楽活動を始め、「自分にとっては音楽活動=就職活動だ」と公言していました。

具体的な音楽活動としては、最初の1年ほどは大学の軽音楽サークルでバンドを組んだものの、既にプロ志向だった僕はサークルメンバーのほとんどにプロ意識が無いことに失望して2年生の時にはサークルを辞め、3年生の時に別の大学に通う同世代の仲間2人と3人組のバンドを組み、活動をはじめました(その頃には僕は弾き語りではなく、エレキギターを中心にJAZZやブルースやロックを弾いていたので、僕はギタリスト兼アレンジャーとして参加し、ボーカルは別のメンバーが担当)。その時期、バンド活動の傍ら、僕はギタリストとしてのスキルアップのために、週に一度プロのスタジオミュージシャン/ギタリストの濱中祐司氏に師事してギターやJAZZ理論を学び、そのJAZZ理論によってアドリブやコードワークの深淵を知り、音楽の世界にどんどんはまり込んでいきました(この時期に知り今に至るまで最も尊敬しているミュージシャンはSteely DanとPat Metheny)。JAZZ理論は、数学的でロジカルな性格が強いので論理的に音楽を追究でき、その論理性は、後にイラストレーターに転向してからも創作の究め方(特に絵を描くことにおいてのデッサンの概念を理解する際)に意外にも非常に役立ちました。また、この時期の自分に起きたもうひとつの大きな変化は、Macintoshを買ったことでした。実はこれも濱中氏の勧めで、師の「これからはギターが上手いだけでは食っていけない。コンポーズもアレンジもレコーディングも自分でやれるヤツが生き残る時代だから、ギタリストにとってMacのスキルは必須になる」という言葉に押されて買ったのでした。当時僕は若気の至りで「自分が天才ギタリストになれば、めんどうなアレンジやレコーディング等の作業は他人が全部やってくれるだろう…」と考えていたので、当初はあまり乗り気ではなかったのですが、そのデジタルマルチスキルの重要性はMacを使い始めてすぐに理解でき、師の言葉が正しかったことを知りました。そして、これもまたイラストレーターとして活動する上でも自分の礎のひとつになっている部分です(つまり、イラストレーターもまた、絵を描くだけではなく、コンピューターが使えることが前提の時代ということ)。とにかくそういういきさつで、僕は大学卒業目前の2000年1月に音楽制作のために初めてMac(中古)を秋葉原で買ったのですが、まさかその出合いが後に僕の人生を大きく変えるとは、その時は知る由もありませんでした。

また、バンド活動を通しても、僕は人生の宝ともゴミ山(笑)とも呼べるような本当に貴重な愛すべき経験をたくさんしたのですが、あまりにもたくさんしすぎたので(色んな場所で演奏し、たくさんの人に出合いました)、それに関しても詳細はまた別の機会に書こうと思います。とにかく、今思い返しても面白い出来事をたくさん経験できた貴重な時期でしたが、目標だったメジャーデビューは結局在学中には果たせず、卒業論文こそ教授から素晴らしい評価を得ましたが(これもいつかテキスト化して公開したい)、それ以外は何の成果も残せないまま大学を卒業し、僕はめでたく大卒のフリーターとなります。

フリーター編に続く


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