Macのバックアップ機能、”Time Machine”の設定方法

コンピューターで作業する上でバックアップは非常に重要です。

コンピューター(Mac、Windows機等)を使って、どれだけ効率的に素晴らしいデータを作成しても、保存してあるハードディスクドライブ(HDD)やSSDが故障・破損してしまうと、そのデータたちは二度と取り出せなくなってしまうので、そうなる前に、他の記録媒体(HDD等)にデータをコピー(バックアップ)しておく必要があります。

Mac OSに標準装備されている「Time Machine(タイムマシン)」は、Mac内のデータを効率的にバックアップできる素晴らしい機能で、僕自身もTime Machineに何度救われたか分かりません。ある時は、仕事中に突然メインマシンのHDDが故障してしまいましたが、運良く持ち合わせていた同サイズのSSDに換装して、Time Machineのバックアップ・データから復元したところ、1時間もかからずに故障前と全く同じ環境を再構築し、仕事にほとんど影響を与えずに事なきを得ることができました。

それだけ便利なTime Machineですが、意外と有効活用していない人が多く、しかし、「バックアップの重要性を認識していない」か「Time Machineの設定方法が分からない」のどちらか(あるいはその両方)の場合が多いので、今回は僕の「Time Machine設定方法」を書きたいと思います。


目次

僕のTime Machine設定

Time Machineの場合、アプリの設定だけ説明するより、ハードウェアも含めたデータフローから見た方が分かりやすいと思うので、図解も含めて説明していきます。

接続図はこんな感じ

 Macのバックアップ機能、"Time Machine"の設定方法 Mac

実際の自宅の環境は、メインマシンとしてMacBook Pro 2011を使っているので、USBではなくFireWireでHDDを接続していますが(→こんなかんじ)、USBでも基本的には同じです。ただ、USBの場合はFireWireのように数珠つなぎに連結できないので、(特にMacBookはUSBポートが少ないので)ハブが必要なケースが多いと思います。

▽僕が使用している外付けHDD(①②ともにこれです)

それぞれのデバイスの役割

下図は、各デバイスの役割をどのように振り分けているかを説明したものです。

 Macのバックアップ機能、"Time Machine"の設定方法 Mac

  • Macintosh  :システムとアプリケーションのみ
  • 外付HDD①:作業データ(サイズは2TB)
  • 外付HDD②:バックアップデータ(サイズは2TB)

Macintosh

僕はMacの起動ディスク(HDD・SSD)にはシステムやアプリケーション等必要最低限のデータしか入れず、作成したデータ等は全て外付HDDに保存します。こうすることにより、Mac内蔵のHDD(SSD)が壊れにくく、またパフォーマンスの低下を防ぐこともできます。

外付HDD①

外付HDD①には作業データ等を保存します。特にイラストを作成する際には膨大な量のデータが発生し、また資料として保存しておく画像等、とにかく日常的に発生するデータの99%はこの中に保存します。仕事関連だけでなく、ブラウザ経由でダウンロードするファイルや、メール添付のファイルの保存先も、すべてこの外付HDDです。

外付HDD②

外付HDD②はTime Machine専用です。Time Machineはバックアップのデータ量が大きく、HDDの空きスペースを大量に必要とするので、2TBのHDDを丸々適用しています。

データフロー

このように接続したデバイス間をデータどのように動いているかを説明したのが下図です。

 Macのバックアップ機能、"Time Machine"の設定方法 Mac

Time Machineはバックアップ元(Mac・外付HDD①)の中の「バックアップするファイル」と「バックアップしないファイル」を振り分けて、必要なファイルだけをバックアップすることができます。本来なら、それほど重要ではないファイルも全てバックアップしたいところですが、そうするとあっという間にバックアップ用のストレージ(この場合だと外付HDD②)の空き容量が無くなってしまうので、ある程度選別する必要があります。選別基準としては「Macや外付HDD①が壊れた時に、絶対に復元したデータ(失うと損害が大きいデータ)」が「バックアップするファイル」で、「最悪の場合、失ってしまっても困らないデータ」は「バックアップしないファイル」としています。

ソフトの設定

この選別の方法ですが、Time Machineは何も設定しないと原則として最初にバックアップを取る際に接続されている全てのストレージの中のデータを自動的にバックアップし、それ以降も1時間おきに同じ場所のデータをバックアップし続けるので、なるべく最初の段階で「バックアップしないファイル(フォルダ・デバイス)」を指定して、なるべく必要最低限のデータフローで済むように設定するのがコツです(というのも、最初は特にデータが多いので、初回のバックアップは数時間〜半日かかる場合もあり、そういう意味で、なるべく少ない方が良い)。

設定方法です。まず、「環境設定」から「Time Machine」を開き、右下の「オプション」をクリック。

 Macのバックアップ機能、"Time Machine"の設定方法 Mac

すると、こういう画面になるので、「+」を押して、バックアップを取らないファイル(あるいはフォルダやデバイス等のディレクトリ)を追加していきます。

 Macのバックアップ機能、"Time Machine"の設定方法 Mac

ここに追加したファイルやフォルダが、上のデータフローの図における緑色の「バックアップする必要の無いファイル」ということになります。

あとは自動でバックアップ

いったん設定して、最初のバックアップ(前述の通り、これが非常に時間がかかります)が終わると、あとはバックアップ用外付HDDをが接続されている限り、Time Machineは自動的に1時間ごとにバックアップを取ってくれます。この1時間ごとというのは頻繁すぎでは?と当初は思いましたが、慣れてしまうとそうでもなくて、たとえば、間違えてファイルを上書き保存して内容の大半を失ってしまった場合でも、少なくとも1時間前までのデータは復旧できるというのは非常に便利で、実際に何度も救われました。また、2度目以降のバックアップは、Time Machineが変更されたファイルだけを自動的に見つけ出して、その部分だけアップデートしてくれるので、非常に短時間で済むのも便利な点です。僕は、寝る直前まで仕事をすることが多いのですが、ベッドに行く前にMacの画面右上のメニューバーから「今すぐバックアップを作成」でバックアップをしてから寝るのが習慣になっています(1分ほどでバックアップが終わります)。

 Macのバックアップ機能、"Time Machine"の設定方法 Mac

作業用外付HDDを使わない場合

ここまでは僕の実際の作業環境を例に説明してきましたが、作業用外付HDD(外付HDD①)を使用しない人も多いと思うので、一応図を追加すると⬇こんな感じになります(ずいぶんシンプルになりますね!)。

 Macのバックアップ機能、"Time Machine"の設定方法 Mac

外付HDDで作業するメリット

ほとんどの人が、上のような方法でMacを使っているのではないかと思いますが、僕がかたくなに外付HDDで作業し、他人にもその方法を薦め続けている理由を挙げたいと思います(とはいえ、基本的には好きに使えば良いと思っていますが・笑)。

Macが長持ちする

正確には、起動ディスク(HDD・SSD)が長持ちする、という意味ですが、内蔵ディスク内の空き容量が多いほど起動ディスクは壊れにくく、パフォーマンスも低下しにくくなります。実際、僕のMacBook Airは2012年9月に買って以来それなりに激しく使っていますが、バッテリーの減りこそ当初より早くはなってきましたが、ディスクのパフォーマンスは体感的には全く落ちません。

この点をなるべく徹底するために、外付HDDを持ち歩くほどではない程度のちょっとした外出時でも16GBのメモリスティックを持ち歩いて、保存するファイルはそこに入れて、帰宅してから外付HDD①にコピーしたりして対応しています。

複数のMacでの作業がしやすい

僕は2台のMacを行き来して仕事をすることが多いのですが(メインはMacBook Pro、外出時はMacBook Air)、外付HDD中心に作業をしていると、HDDを挿し替えるだけで、すぐに仕事の続きができるので、そういう点でも重宝しています。

クラウドは過信しない

僕がこの方法論をすすめると「自分はクラウド中心だから、そこまでは必要ない」という人が時々います。特にイラストレーターほど大きなファイルを使わない仕事(プログラミング・Web・文筆業等)は、そこそこ速いネット環境さえあればクラウドに分散して保存・バックアップを取れば充分とも言えます。

その理由とは

僕も一部のデータはクラウドを使用してバックアップを取っていますが、基本的にはクラウドは過信しないことにしています。

オフラインで作業ができない

クラウドの最大の難点はこの点だと思います。特に移動が多い生活をしていると、意外とネットが無い場所は多く、そんな環境下でもふと思いついて作業の続きをしたくなることはあるもので、そんな時にクラウド依存だと作業自体ができないことになります。

海外はネットが遅い

僕が生活しているドイツを始めとした欧州や米国等の海外諸国は、一貫して日本よりネット回線が遅く、重いデータを転送するのに時間がかかります。おそらく日本・韓国・香港を除く世界のほとんどが、10年前の日本のADSL程度の通信速度だと思います。そういうわけで、海外によく行く人ほどクラウド依存ではなく、ローカル環境で完結できる作業環境を構築しておく必要があると思っています(特に重いデータを扱うクリエイターは必須)。

クラウドのデータは、いつ消失するか分からない

僕は基本的にクラウドのデータは「いつ消失しても良いもの」としています。クラウド自体は非常に便利ですが、結局そのデータの管理を他人にゆだねているわけで、しかも、見えないところにある物理的なストレージに格納されているにすぎません。なので、何らかのトラブルで、そのストレージが初期化されたり損傷したら、データは消えてしまいます。当然、クラウド運営業者側の義務としてバックアップされているべきですが、それが機能せずにデータが消失してしまう事件も実際にときどき起きています。

クラウド上の業務ファイルが突然消失……広がる波紋と「シャドーIT」問題 – ITmedia ニュース クラウドのデータはなぜ消えた?~ファーストサーバー事件

まだまだこういう事故は起こりうるので、大事なデータほどローカル環境メインで管理しつつ、補助的にクラウドを利用するべきだと思っています。

まとめ

長くなりましたが、Time Machineの設定方法をまとめてみました。

たびたび目にする光景ですが、Macが壊れた際にアップルストアやMac専門店に持ち込むと、お店のスタッフは必ず最初に「Time Machineでバックアップ取ってた?」と聞きます。そして「取ってたよ」と言うとスタッフは「あ〜、それは良かったね!」と満面の笑みになるのです(Macは壊れているのに!笑)。つまり、本当に大事なのはMacそのものより中のデータであり、そこさえバックアップが取れていれば復元できるということなのです。その辺りは、ベルリン在住の友人ライター(兼翻訳家)の佐藤ゆきさん(通称ユッキー)の過去記事が生々しいのでリンク貼って起きます。

【実録】MacBook AirのSSDが突然死んだ! 症状からデータ復活までの経緯まとめ | ロケットニュース24.

僕のように仕事で日常的に自分のMacを使ってない人でも、意外とMacの中には無くなったら困るデータが入っていると思います。例えば、送受信したメールとか写真とか音楽とか。そういう意味で、バックアップは誰にとっても等しく大事なものなので、まだ活用していない人は是非これを機に設定して使ってみて欲しいと思います。

 


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