こんにちは。高田ゲンキ( genki119)です。
フリーランス入門書『フリーランスの教科書 1年生』の著者です。
前回の記事では、フリーランスの定義と必要条件について書きましたが、今回は具体的に「フリーランスになりたい!」という人が独立までにやっておくべきことについて書きたいと思います。
便宜上、会社員であることを前提に書きますが、学生など会社員以外の場合でも求められる条件は同様です。
① 充分なスキルを身につけておく
何より大事なのはスキル
最も大事なのは、フリーランスとして独立するまでに充分なスキルを身につけておくことです。何をもってして充分とするかは判断が難しいところですが、とにかく自分の専門(イラストレーターならイラスト、ライターなら文章など)の商品を、業界の相場価格で買ってもらえるだけのクオリティに引き上げないことには、スタートラインにも立てません。
そうしたスキルレベルや習得法に関する具体的なリサーチ法は、著書『世界一やさしい フリーランスの教科書 1年生』で詳しく書いています。
1万時間の法則
また、一般論的に「ひとつの分野でプロのレベルに達するには、その対象に一万時間を費やすべし」という、いわゆる1万時間の法則というのがあります。
これには賛否両論がありますし、実際に一万時間を勉強やスキルアップに費やすのが困難な場合もありますが(1万時間とは、日数にすると416日間ですから…)、ひとつの目安として覚えておくと良いと思います。
ちなみに、僕は「ふつうの人なら一万時間かかるところに3000時間で到達する方法を求めて、本気で試行錯誤するタイプです!(キリッ)
② 「社会人としての常識」や「ビジネスマナー」を身につける
フリーランスとして仕事をするということは、言い換えれば自分ひとりで制作/営業/経理などを担当して会社を経営するようなものです。つまり、クリエイターであっても、営業職のようにクライアントと直接やり取りをして商談をまとめたり、企画を進める必要があるわけです。そして、そうしたビジネスの対人的な局面で必要になるのが社会人としての常識やビジネスマナーです。
どれだけ才能豊かで素晴らしい作品を作ることができるクリエイターでも、言葉遣いやマナーが無い人は、ビジネスパートナーとして信頼を得ることができず、継続的に仕事を依頼してもらえなくなります。
なので、独立前に会社員期間がある場合は、その期間中に積極的にそうしたことを学び、実践しておくと良いでしょう。また、最近は大学卒業後にそのままフリーランスになる、いわゆる「新卒フリーランス」も増えていますが、その場合は在学中にインターンなどを通して、少しでも身につけおいて損は無いはずです。
「社会人としての常識」や「ビジネスマナー」ってどんなこと?という人のために具体例を挙げると、
- 取引先や目上の人に対する言葉遣い
- 名刺交換の方法
- 会議室での席順
- ビジネスメールの書き方
などです。「なんだ、そんなことか…」と思うかもしれませんが、実際にビジネスシーンを経験していないと、これは思いのほか難しいのです。
私自身も、実はフリーランスになる前に会社員としてデザイナー職だけでなく営業職を少し経験したことがあり、その際に営業としての言葉遣いを上司から叩き込まれました。例えば、お客さんとの会話では「わかりました」ではなく「かしこまりました(あるいは承知しました)」とか、「行きます」ではなく「伺います」とか、「私」ではなく「私(わたくし)」とか…。当時の私は、「そんな言葉遣いよりも、良いものを作れるかどうかのほうがずっと大事だ」と思っていましたが、フリーランスになってからその時に学んだビジネスマナーが非常に役立ち、そういった経験をしておいてよかったと心底おもったものです。たかだか言葉遣いかもしれませんが、だからこそそんなことで信用を失って、自分の商品が正当な評価を受けることができなくなる状況は避けるべきなのです。
ちなみに、僕はフリーランスになる前にうっかり営業職として入社してしまったブラック企業で、営業の際に使う言葉遣いやマナーを叩き込まれました。労働環境的には本当にひどい経験でしたが、これをお金をもらいながら学べたのは大きな収穫でした(⬇『フリーランスで行こう!』より)。
③ 貯金しておく
フリーランスとして独立して最初の数カ月は充分な仕事が無く、したがって当然収入も充分ではないことが一般的。そして、その状況下では貯金を切り崩しての生活を余儀なくされます。なので、よほど最初から強力なコネがある場合を除いて、「貯金額」と「フリーランスの助走期間の長さ」は比例します。そして当然ながら、助走期間が長いほど、その後活動を軌道に乗せることができる可能性は高くなります。
では、具体的に貯金はいくらくらいが良いのかというと、これは生活スタイルや居住地にもよるので一概に言えませんが、経験則的に「1年無収入でも暮らせる程度あれば望ましい」と思っています。
多くのフリーランスが、最初の半年〜1年ほどは無収入に近いことが多く、また独立時には色々と出費がかさむこともあるからです。
④ その他
その他、いくつか思いつくものを挙げてみます(この項目は、今後思い出すごとに追記していきたいと思います)。
コネを作っておく
フリーランスとして独立して、イチから営業で顧客を獲得していくのはなかなかたいへんです。できれば在職中からコネを作っておいて独立してもすぐに仕事をもらえる状態を作っておきましょう。
また、場合によっては(⬇このツイートのような感じで)勤めている会社を独立後のクライアント第一号にするのもアリです。
今会社員デザイナーとかでそのうち独立したい人は、辞めるまでに会社の仕事を超頑張るのもアリ。で、辞める時に「君がいないと困る」と言われたら、毅然と「では、その部分の仕事は自分にアウトソースしてください。料金はこちらで設定します」と言って、最初のクライアントになってもらえばいい。
— 高田ゲンキ (@Genki119) October 30, 2017
クレジットカードを作っておく
一般的にフリーランスになるとクレジットカードの審査に通りにくくなると言われています。実際には(ある程度ちゃんと稼いでいれば)それほど厳しいと感じたことはないのですが、いずれにしても余計な苦労を避けるために、会社員として働いてるうちに作っておきましょう。
まとめ
以上、フリーランスになりたい!と思ったら、独立する前にやっておくべきことをまとめました。最近はフリーランスに憧れる人も増えたので、スキルや貯金がないのに勢いで独立しようとする人も散見されますが、僕はそういう人に相談されると必ず止めて、まずは上記のようなことをじっくり固めてからにすることを勧めています。
勢いも時には大切ですが、独立はその後の人生を左右する大きな決断なので、なるべく成功率を上げられるように準備してから臨むようにしてくださいね。僕も、そのために役立つ情報発信をこれからもしていきます!🤓
- フリーランスってなに?その働き方とは?
- フリーランスになる準備
- フリーランスになったらすること
- 実際の仕事の進め方
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