こんにちは。高田ゲンキ( genki119)です。
フリーランス入門書『フリーランスの教科書 1年生』の著者です。
僕がフリーランス志望者や駆け出しのフリーランサーの方からよくいただく質問のひとつに、
頑張ってスキルアップしているのに、なかなか仕事がうまく行きません
というのがあります。
これ、厳密にはひとりひとり原因は違うのですが、多くの人に共通する要素もあります。それは何かというと、専門スキルはそれなりのレベルに達しているのに、デジタルスキルが低いということです。
今回はこのデジタルスキルについて説明したいと思います。
専門スキルだけではフリーランスには不十分
専門スキルは前提条件にすぎない
基本的な前提条件として、フリーランスになるのに絶対に必要なもの、それは「専門スキル(技術・技能・職能)」です。イラストレーターになりたいなら、絵がうまく描ける技術が必要だし、ライターなら文章、プログラマーならプログラミング、映像作家なら…と、ここまでは誰でも容易に想像がつくと思います。フリーランスになるならば、当然こうした専門スキルをプロレベルに磨き上げ、それを維持・向上し続ける必要があります。
しかし、フリーランスとしてビジネスをしていくには、そうした専門スキルだけでは充分ではありません。
なぜ不十分か?
その理由は、フリーランスのワークスタイルにあります。
たとえばデザイナーのようなクリエイターの場合、会社員として仕事をするならば自分の専門スキル(デジザインスキル)を高いレベルに保つ努力だけしていれば、マーケティングや営業やPRやディレクションなどは社内の別の人がしてくれます。なぜなら会社での仕事はチームプレーが原則で、それぞれの専門分野でお互いを補完し合うものだからです。
それに対して、フリーランスとしてデザイナーをする場合は、当然デザインの制作だけでなく、マーケティングも営業も経理もディレクションも自分でする必要があります。場合によってはフリーランスであってもプロジェクト単位でチームの一員として仕事をすることもありますが、いずれにしても専門分野以外の業務をする機会は会社員クリエイターとは比にならないほど多いことは明らかです。
つまり、フリーランスとして仕事をする以上、クリエイターであってもクリエイティブな業務以外のタスクをこなさなければならず、この部分をいかに効率化するかによって、本業の生産性も大きく変わってくるのです。
そして、そこで必要になるのがデジタルスキルなのです。
どれだけ専門スキルが優れていても、なかなか仕事に結びつかずに苦労している人がいる一方で、専門スキルのレベルはそこまで高くなくても楽々と仕事を獲得してフリーランスとして成功している人もいる。そして後者は皆、デジタルスキル(ITスキル)に優れいているという共通点があるんだ。
フリーランスに必要なデジタルスキルとは?
では、フリーランスに求められるデジタルスキルとは一体何でしょうか。
よく「デジタルスキルが必要ということは、プログラミングをやったほうがいいんですか?」と聞かれますが、答えはNOです。もちろんプログラミングができるに越したことはありませんが、ほとんどの業種においてプログラミングは直接的なメリットはありません。多くのフリーランスにとって、プログラミングより大事なデジタルスキル、それは
ユーザーとしてのITリテラシーを上げること
…ということになります。
もう少し分かりやすい言葉で言うと「ITデバイス(パソコン・スマホ・タブレット等)を使って、仕事や生活を最大限効率化して生産性を上げることができるようになること」とでも言えば良いでしょうか。
ユーザーとしてのITリテラシーの例
「専門スキル」✕「デジタルスキル」に関して、僕(イラストレーター)のケースを例に説明してみましょう。原則として、イラストレーターは一定以上の基礎画力(紙と鉛筆だけで何でも的確に描き表すことができる力)が必要です。スポーツに置き換えると、これは基礎体力や筋力のようなものだと言えるでしょう。
しかし、基礎体力や筋力が強いだけではプロのスポーツ選手になれないのと同様に、基礎画力だけではイラストレーターにはなれません。そこで必要になるのが「デジタルスキル」です。僕の場合は、イラスト製作時はAdobeのIllustratorとPhotoshop、マンガ制作時はクリップスタジオというソフトを使用しています。この専門スキルとデジタルスキルのふたつのスキルがバランスよく掛け合わさって、初めて商品としてのイラストレーションが完成します。
Macにハマり、Adobe Illustrator(通称イラレ)に出会ったのが23歳の時。そのぶっ飛んだ概念に惚れ込んで「絶対極めたい!」と思い、それから18年間毎日のように使っているので今は自分の手足のよう。このレベルで使いこなせると、スキルだけで食ってける自信にはなる。
#イラレマンアウトライン大会 pic.twitter.com/sssrWDCVve
— 高田ゲンキ (@Genki119) July 20, 2018
純粋な画力(デッサン力)が僕より高い人はごまんといます。しかし、画力(専門スキル)とデジタルスキルのバランスという点に関しては、僕は我ながらなかなかのレベルだと自負しています。このバランスこそ、フリーランスのイラストレーターとして仕事をする上で大事なのです。
本業の業務以外の部分にも役立つデジタルスキル
また、イラスト作成ソフト以外にも様々なソフトやウェブサービスに日頃から関心を持ち使いこなしているので、例えばクライアントにデータを納品する際や、オンラインで会議をする際などに状況によって最適な手段を選択/提案することができ、そうした制作面以外の要素でもクライアントからの信頼を得られる事も少なくありません。
加えて、僕の場合はソフトだけでなく、ハードウェア(Mac)そのものの構造にも強いので、Macが調子悪かったり故障した時に、ある程度自分で直すこともできます。これもフリーランスとして仕事をしていく上で非常に役立っています。例えば…
- Macの調子が悪くなってもたいていはすぐに自分で直せるので、修理に時間やお金がかからない
- 自分で修理できるので買い換える必要がなく、無駄な出費をしなくて済む分生産的なことに投資ができる
- 場合によっては同業者やクライアントのMacの修理やメンテナンスもできるので、それによって信頼を得られることもある
…というようなメリットが挙げられます。
デジタルスキルで仕事も生活も効率化&生産性アップ!
デジタルスキルが活きるのは創作等の専門分野だけではありません。デジタル化により、雑務や生活一般の大幅な効率化も図ることができ、それによって仕事の生産力が高まったり、休憩時間や休暇を多く取れるようになるという副次的効果もあります。
具体的には…
- 経理関連(確定申告・銀行手続・請求書や領収書の処理など)
- 通信インフラの統合による効率化
- 情報収集(資料の収集や、トレンドへのアンテナ)
- ウェブサイトのSEO強化で集客力アップ
- SNSを通した営業
- オンラインショッピング
…などが挙げられます。
デジタルスキルに多角的に精通すればするほど、仕事を含めた生活全体の効率化が進み、その効率化によって生まれた余剰を更なる生産やスキルアップ、あるいは余暇に使えるという好循環を作ることができるのです。
これをできる状態とそうでない状態を比較すると、数日単位では生産性やインプット量にそれほど違いが無いかもしれませんが、数ヶ月〜数年単位にもなると、もはや取り返しがつかないほどの差になって現れてしまうのです。そして、フリーランスのビジネスは言わずもがな長期戦です(つまり、差をつける側に立たないと勝ち残れません)。
まとめ
以上 、フリーランスが専門スキルだけでなくデジタルスキルを身につけるべき理由について説明してみました。
個々のセクションに関しては、また別記事で詳細を掘り下げようと思いますが、これだけ見てもデジタルスキルの重要性をご理解いただけたのではないかと思います。
「自分はデジタルは苦手だから、専門性を追求します」という人がたまにいますが、フリーランスとして活動をしていきたいのであれば、なるべくならその考えは捨てて、ITへの苦手意識を克服して、せっかくの専門スキルを加速させて下さい。
数十年前はプログラミングを理解しないと使用できなかったコンピューターが、現在はUI(ユーザーインターフェース)の進化の恩恵で、ほんのちょっとの努力で誰でも使えるようになりました(僕は、スティーブ・ジョブズやビル・ゲイツの最大の功績はこの点だと確信しています)。今ほどフリーランスやクリエイターに対してデジタルの敷居が低くなっている時代もありません。どうか、この恩恵を最大限に活かしてほしいと思います。
デジタルを活用して、素晴らしいフリーランスライフを!🤓
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