フリーランス日本人の海外移住先として ベルリンがアツい5つの理由

注意【2018年5月26日・追記】

本記事は2015年7月に書いたものです。執筆時から3年近くが経過した2018年5月現在の状況は大きく変わっており、ベルリンは必ずしも海外移住先としてお勧めできないので、その旨のツイートを張っておきます。ご参考にしていただき、最新の情報を調べた上で移住先を検討するのが良いと思います。


【本編ここから⬇】

少し前ですが、SNS等で「今、日本人の海外移住先としてオランダが熱い理由」という記事が注目を集めました。日本人がオランダのビザ取得する際のハードルが低くなったことを受けての内容ですが、これを読んで僕が真っ先に思ったことは「たしかにオランダ移住はしやすくなったけど、フリーランスの日本人にとってはドイツ(特にベルリン)の方が断然移住しやすい!」ということ。友人のwasabiさん(wasabi_nomadik)も言っているとおりオランダで「就業許可」が必要無いからと言って「滞在許可」は別に必要で、結局それを得るためには現地で就職か起業するしかなく(あるいは投資移民という手もあるかもしれないけど、それはもっとお金がかかる)、そこに触れている記事が非常に少ないのが気になりました。

 フリーランス日本人の海外移住先として  ベルリンがアツい5つの理由 ベルリン

その点、ベルリンはフリーランスの外国人が長期ビザを取得しやすい環境が既に整っていて、世界中からアーティストやハイスキルのフリーランサーたちが集まっています。もどかしいのは、その事実が意外なほど日本で知られていないということ。

というわけで、僕も「フリーランス日本人の海外移住先としてベルリンがアツい理由」を書いてみたいと思います!


目次

理由①:フリーランサーのビザが取得しやすい!

とにかく海外に長期滞在をする際に最も重要なのがビザの問題ですが、ドイツ(その中でも特にベルリン)はフリーランサー向けのビザが意外にも取得しやすく、その中でもアーティスト(画家・イラストレーター・音楽家・映像作家・書道家・ダンサー等々)は特にビザのハードルが低いです。この通称「アーティストビザ」(僕もこのアーティストビザで滞在しています)が比較的簡単に取れる理由は、アーティストは既存の市場や雇用を侵害せず自身の創作物で生計を立てられるからです。そのため自分の創作物の売り上げで生計が立たないからと言って創作以外の仕事をすることは当然許可されません(というわけで生活が立ち行かなくなって帰国するケースも多い)。ただ、いずれにしてもフリーランサーやアーティストとしてベルリンでの生活をスタートしやすい環境があることは事実で、僕が知る限り先進国でこれほどフリーランサーにとってオープンな環境がある街を僕は知りません。 ちなみにアーティストビザは外人局という場所で申請して即日発行されるケースさえあるほどです。一方、それ以外の一般的なフリーランスビザはもう少し厳しく審査されるので、申請してから2〜3ヶ月間待たされるケースが多いですが、その間も仮ビザが発行されて滞在は許可されます(ただし、その間のドイツ国内での労働は不可)。

もちろん準備はそれなりに面倒

取得しやすい…とは言え、先進国の長期ビザなのでもちろんそれなりに準備はたいへんです。特にフリーランスビザは申請に際して地元企業からのリファレンスレターが必要になり、これを準備するのが最も骨が折れます。アーティストビザの場合は少しゆるいですが、それでも地元の企業・個人からの推薦状が必要で、それだけでもやはりたいへんです。なので、その辺の準備は可能なら渡独前からリサーチしたりコンタクトを取るなどして準備をするのが良いと思います。

それでも他国と比べると断然ラク

ハッキリ言ってフリーランスビザのリファレンスレターをもらうのは容易ではなく、そこでくじける人も中にはいるほどですが(とは言え知る限りほとんどの人が何とか乗り越えて取得していますが)、前述した通り相対的に見て先進国でここまで簡単にフリーランスビザが取得できる場所は無いと思います。軽い気持ちで「ビザ取りたい」と思っている人には若干ハードルが高いようですが、「何とかしてドイツに移住したい!」という強いモチベーションを持っている人にとっては(もし既に日本でフリーランサーとして活動しているとしたら)、想像以上にラクに取得できるのではないかと思います。

理由② :英語で生活できる

ドイツ人は全体に英語力が非常に高く、特にベルリンは国際都市なので英語が通じる場所が非常に多いです。僕が住んでいるベルリンの中心地(旧東ベルリン)では、外を歩いているとドイツ語よりも英語の方が多く聞こえてくるほどです。また、僕も関心が強く最近いろいろと関わりを持っているベルリンのスタートアップ業界の中ではほとんど皆英語で話します。そういう理由もあってイギリス・カナダ・アメリカ・オーストラリア等に留学をして英語のスキルを付けたあとに「生活しやすそう」「文化が面白い」という理由でベルリンに移り住み、英語で生活している日本人の若者も多くいます。 僕自身は英語学習を始めたのが遅かったので今でもそれほど流暢ではありませんが、そういった英語中級者にとっては返って非ネイティブの英語は(発音も表現も)分かりやすいので助かっています。特にドイツ人の英語は聞きやすく文法もしっかりしているので、日本人の英語スキルアップに参考になる部分が大きいと感じています。

国際社会における英語の必然性

僕も英語はまだまだなので偉そうなことは言えませんが、それでも最低限英語を使って生活をしている身からすると、多くの日本人はあまりにも英語が話せません。僕の感覚からすると、日本のフリーランサー(イラストレーター、デザイナー、プログラマー等)の中のかなりの割合の人が海外生活をできるポテンシャルを持っているにも関わらず、英語力が無いために断念しているケースが非常に多いです。しかし、21世紀の国際社会において英語は「海外に住むために必要なもの」ではなく「日本にいたとしてもグローバリゼーションを生き抜く(楽しむ)ために必須のもの」であり、移住をしないことは英語を学ばない理由にはなりません。日本にいたとしても最低限の英語力は必要な時代ですし、逆に最低限の英語力があれば気軽に海外移住もしやすい時代なのです。

ドイツ語学習も楽しい

当然、長期あるいは永住を前提とするとドイツ語のスキルもある程度必要になってきますが、ベルリンは移民が非常に多い街なので、外国人向けの安いドイツ語学校が多数あり、比較的手軽にドイツ語を学ぶ環境が整っています。僕自身は仕事柄なかなか学校に通えず独習がメインですが(そしてまだまだ低レベルですが)、特に現地にいると他言語学習は楽しいので、今後も英語・ドイツ語学習を頑張っていきたいと思っています。

理由③:物価が安い

これもよく言われることですが、ベルリンは西欧先進国の首都にしては意外なほど物価が安い街です。もちろん贅沢をすればかなり浪費しますが、節約して生活すれば少なくとも東京よりもだいぶ安い生活費で過ごすことが可能です。それでいて享受できる刺激は日本国内とは比べ物にならないので、特にクリエイターは是非住んでみるべき!と僕は思っています。 その反面ここ数年の円安で、日本円建ての貯金や日本からの仕事をベースに生活している日本人にとってはあまりベルリンの物価の恩恵を感じられない状況が続いているのも事実です。今後の為替変動もあまり楽観視できないので、長期的な視点では「円以外の通貨でも稼ぐ」「どんな通貨でも良いからとにかくたくさん稼ぐ」というビジネス的なモチベーションは必要だと思います。そういう意味では、ロースキルな人は生き残りにくくハイスキルな人は居心地が良い…という二極化が生まれつつあると実感しています。 いずれにしてもベルリンの物価が相対的に安いのは事実で、ロンドン・パリ・バルセロナ等の主要都市や、スイス・北欧等と比べると格段に安いので、欧州移住希望者にはベルリンは最適だと思います(ただの中長期滞在で良い場合は東欧を視野に入れた方が更に安いので良いかもしれません)。

理由④:IT産業が急成長中

今回は「フリーランスにとって…」という前提で書いているので特に強調したいのですがこの部分です。僕のブログでも折に触れて書いていますが、とにかくベルリンはここ数年ITスタートアップの集積地として急成長中で(ヨーロッパのシリコンバレーと呼ばれているほど)、日々たくさんのITスタートアップ(ベンチャー)が起業し、多くのITディベロッパーやデザイナーたちがヨーロッパ各地から集まって最先端のアプリやWebサービスを生み出しています。そういう環境なので当然プログラマーやIT系デザイナーの需要も高く、常にスキルの高い人材が求められています。 最近特に大きなニュースになったのが、ベルリン発のスタートアップ「Wunderlist(ヴンダーリスト/ワンダーリスト)」というTo-Doリストアプリを作っている6Wunderkinder(ゼクス・ヴンダーキンダー)社を米マイクロソフトが買収した件。その額たるや125億円とも250億円とも言われていますが、とにかくこれ以降ベルリンのスタートアップが世界規模でますます注目を集めています。

本場シリコンバレーと比較すると、まだまだ経済規模が小さく、前述の通りベルリンの物価自体が安いのでそれほど高給ではないのが実態のようですが、その分参入障壁も低いので「世界を相手にするITスタートアップシーンで働きたい!」という人は是非挑戦してみてほしいです。実際、何のコネも無くひと月ほど前にベルリンに来たプログラマーの友人は、そのスキルだけを武器にネットワーキングをして、すでにベルリンでチャンスをつかみかけています。もちろんうまく行くケースばかりではないはずですが、それだけハイスキルIT人材の需要を目の当たりにして改めて驚きました。

理由⑤:ベルリン自体が超刺激的で楽しい!

ある意味これを最も声を大にして言いたいのですが、ベルリンはほとんどの日本人の印象とは全然ちがって、ものすごくハジけてて楽しい街です。僕自身、ここに来る前はベルリンの印象って「ちょっと暗い」、「重い歴史を背負ってる」、「パンクの人が多い」、「クラブカルチャーの中心」みたいな感じだったわけですが、実際に住んでみたらそういう情報はものすごく偏ったものだったと悟りました。ではどういう街なのか?というと、それは一言では言えず、「一言で表せないほど多様性に満ちている街」というのが最もふさわしい表現かもしれません。

多様性があるからこそ移民も居心地が良い

これだけ移民が多いので、外国人である僕が生活をしていても差別や奇異の目を感じることはほとんどありません。英語も下手だしドイツ語も幼稚園レベルですが(ドイツ語は鋭意勉強中です!)、他にもそういう移民がたくさんいるのでベルリンのドイツ人は慣れていて普通に対応してくれます。そういった多様性あるこの街と、その環境を作ったベルリンの人たちを、僕は本当に尊敬しています。

まとめ:クリエイターは刺激を求めてベルリンに来るべき!

常々思うのは、「クリエイターにはインプットが重要」ということです。良いものを表現し続けるためには、刺激的で楽しい経験をたくさんしてインプットを増やす必要があり、そういう意味ではこの街は充分すぎる経験を与えてくれます。また、ベルリンだけでも充分エキサイティングですが、ベルリンのロケーションは欧州の中心に位置しているので、東欧・西欧・南欧・北欧すべてにアクセスが良く、気軽に色々な国に行けるのもアドバンテージです。僕もベルリンに住み始めてから2年半の間にストックホルムバルセロナロンドンウィーンなどに旅行しましたが、いずれも2時間前後のフライトで行けてしまい、日本だと国内旅行みたいな気軽さでした。 そして、色々な街の異なった文化を楽しんだ後に必ず思うことは「やっぱりベルリンが一番楽しい街!」ということです。「繊細さとがさつさ」「知性とおバカさ(←良い意味で)」「頑固さと寛容性」「美しさと小汚さ」というような相反するものが絶妙なバランスで共存し、さらに多様な民族や宗教や歴史が入り交じる街ベルリン。ノマドが可能なフリーランサーたちは、この筆舌に尽くしがたい愛すべき街を体験しに来てください。そして、気に入ったら是非移住先として検討してもらいたいと思います。 最後にベルリンの魅力が少しでも伝わるかも?という期待を込めて写真をいくつかアップします。

 


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コメント

コメント一覧 (4件)

  • 非常に興味深い記事に興奮しております。
    ベルリン移住は、僕の夢であり野望です。
    僕は、web、logo、デザイナー.として1人で起業し、現在に至ります。
    記事を拝見させて頂いて、移住を実現するためには、「地元企業からのリファレンスレター」が重要である事を知りました。
    このリファレンスレターを獲得する現実的な方法をご存知でしたら是非、ご教授ください。

  • Kouzou Saikaさん

    レスが遅くなりすみませんでした。
    移住の具体的時期によりますが、リファレンスの取得方法は主にふた通りあると思います。

    1.
    日本にいるうちに現地の会社や個人事業主に営業をかけてコネクションをつくっておく。可能なら、遠隔で仕事もすればベター。

    2.
    現地入りしてからビザ申請をするまでの間にミートアップ等のイベントに積極的に参加して、リファレンスを書いてくれそうな(将来的にいっしょに仕事ができそうな)人とのコネクションを作る。

    ミートアップに関しては↓こちらを参考にしてください(他にもたくさん似たようなイベントが開催されています)。
    http://genki-wifi.net/siliconalleebreakfast

    ぜひベルリン移住を実現させてくださいね!

  • とても面白い記事でした。家族でカナダへの移住を目指している真っ最中ですが、学生時代のデンマーク留学の経験から、どちらかというとヨーロッパでは「現地人になる」ことが求められるような気がしていました。ベルリンが多様性に寛容な都市ということが知れてよかったです!旅行でしか訪れたことはありませんが、街にアートが融け込んでいる、とても美しい街ですよね。デンマークのデザイン学校にも興味があるので、デザイナーの夫と共に、いつかヨーロッパでデザイン勉強の時間をとりたいものです^^

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