JAZZ
AORを突き詰めると、そこにはJAZZの存在が必ず出てきます。AORを「AORっぽくしている」大きな要素のひとつは、間違いなく「JAZZ的な音」なのです。そういうわけで、僕は当時師事していた濱中さんにJAZZ理論を教わりました。「JAZZをやりたい」と言ったとき、濱中さんは「本当にやりたいなら教えるけど、JAZZ理論を学ぶことによって、ゲンキの音の個性が失われる可能性がある」と言いましたが、僕は「それで失われるとしたら、それは本当の個性じゃないのでは?」と言って、結局教わることにしました(そういう意味で、音楽におけるJAZZ理論は絵におけるデッサンに似ています)。
ちょうどこの頃、ブルースのインプロヴィゼーション(アドリブ)も自分なりにある程度のレベルまで到達して伸び悩んでいたので、JAZZの理論をイチから勉強して、ブルースを超えてどんなコード進行でもアドリブが出来る技術をつけたいと思ったのでした。
Pat Metheny
JAZZを学ぶ上で、教材として様々なJAZZを聴きましたが、最終的に僕が最も好きなJAZZミュージシャンはパットメセニーでした。
パット・メセニーはジャズ・ギタリストですが、彼の音楽の理解は卓越しすぎているので、ギタリストという定義を超えたプレイ(とコンポーズ)で、JAZZというジャンルを超えた「パット・メセニー」という唯一無二の音楽ジャンルを形成しているとさえ言えますが、逆に「それもJAZZである」と言えるのがJAZZの懐の深い部分でもあり、メセニーはJAZZ(というか、音楽)を今最も進化させている人なのではないかと思っています。
時々思うのは、「たとえば、もしバッハが現代に生きていたら、クラシック(というか教会音楽)ではなく、メセニーのような音楽をやっていたのではないか」ということです(一部の人からは怒られそうですが)。
まとめ
以上、僕のある時期までの音楽遍歴をまとめてみました。
もちろん、これは一例で、他の人がこの通りに聴く必要は全くありませんが、音楽を志す人(あるいはリスナーとしてもこだわりを持っている人)が、自分が求めている音楽のルーツを探す方法論の例としては参考になる部分があるのではないかと思ってシェアしてみました。
最終的に僕の人生で出会った最も偉大なミュージシャンはスティーリー・ダンとパット・メセニーで、これは死ぬまで不動だと思うのですが、一方でベルリンに来てから聴く音楽の傾向が少し変わった部分もあるので、(気が向けば)次回はその辺もまとめてみたいと思います。
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